音楽科の専門授業【スコアリーディング】
ようこそ!ブーです。
今日は、音楽科の専門授業【スコアリーディング】を紹介します。
スコアリーディングとは
Score readingスコアリーディングを和訳すると「総譜を読むこと」となります。
Scoreスコアは楽譜そのものを指す事がありますが、本来は「総譜、総合的な楽譜、Full scoreフルスコア」を表す英語です。
音楽で使われる全ての楽器のパートを1つにまとめることが出来る楽譜で、オーケストラや合奏・重奏・バンドなどの「音楽形態」によって楽器の種類別にパートがいくつも分かれている、パートの数だけ段数が増える楽譜をスコアと呼びます。
8種類の楽器を使ったスコアの例は8段になる。↓
1つの楽譜に全てのパート譜が書かれていると見にくくなるので、普通は楽器ごとに個別に作られることが一般的なんですよね。
ですが、指揮者は全てをまとめるためのポジションのため、全てのパート譜がまとめて書かれたスコアを見なければいけません。
もし音楽家になるならば、キチンと身に付けておきたいものの1つに「楽譜を読む」ということが挙げられるくらい大切です。
さらに1歩進んだ専門的なものが、「楽譜を総合的に見ることができる」スコアリーディングの能力となり、この授業では「楽譜をただザッと読むんじゃなくて、楽譜を理解しながら読み進めていくことを心がける」ということを教わります。
指揮者にとってのスコアリーディング
スコアリーディングは、オーケストラを束ねる指揮者という重要な役割を持った人に必ず必要な能力です。
普通の楽器演奏者や歌手などは、自分が演奏する楽譜が読めて、周りの演奏と合わせることが出来れば問題はありません。
ですが、まとめ役の指揮者が聴きながら全てのパートの楽譜をチェックして、悪いところを注意できないと、いくらオーケストラの演奏者が良くても音楽はグダグダで締まりの無いものになってしまいます。
そんな演奏はお客さんに聴かせられないので、指揮者はオーケストラに自分が持っている曲のイメージを一生懸命伝えて、整えていかなければいけません。
多いときには30段以上のパート分けがある楽譜の1つひとつを、演奏の流れと同時に確認する事はとても難しいので、指揮者はあらかじめ楽譜を読み込み、オーケストラの前に立つときには楽譜を見なくても音楽をイメージできるように練習しておきます。
ただ音楽をイメージできれば良いというわけではなく、作曲者の出身地や曲の経緯などの一見すると曲に関係なさそうな事まで考えて、曲を細かく読み解いていくことが指揮者の役割であり、その作業によって得た楽曲の知識そのものがスコアリーディングなのです。
人にもよるとは思いますが1曲の楽譜でも、
- 自分のイメージ練習用に使う、注意点を書き込むための楽譜
- オーケストラとの練習に使う、指示を書き込むための楽譜
- 本番用のキレイな楽譜
の計3冊を使い分けることもあるそうなので、楽譜自体もスコアリーディングには大切なものなんですね。
授業としての【スコアリーディング】
スコアリーディングの授業は、
「指揮者が楽譜の内容を理解して読み解く事ができる能力や、楽譜に書かれてある内容以外の知識を養う」
ことを目標に、CDを聴いたり・映像を観ながら楽譜を読み解いていきます。
演奏を聴くこと以外にも、
- 作曲者の生きた時代、出身地、人物像
- 曲が作られた場所や年代
- 曲が作られた経緯
- 曲の内容
など、さまざまなことを学んで、その知識を曲に反映させて自分なりに読み解いていきます。
指揮者によって演奏時間や強弱に違いがでてくる理由は、この時に得た知識の認識や受け取り方が人それぞれに違うからです。
ピアノの楽譜が読める人は、いろんなパートのあるスコアも読みやすいので、曲を聴きながら「どれだけ読み解けるのか」を試してみると楽しいのではないでしょうか。
その他の人は、パートの数が少ないスコアで慣らしていくと読む力がつきます。
読む力がつくと、自分が演奏する楽譜を読むときに楽になるので便利ですよ。
この授業を受けて良かった!
私が高校生の頃には無かった授業で、短大に入学して初めて存在を知った授業でした。
本来は指揮者になるために指揮科に入学した人が受ける授業ですが、私が通っていた当時は学校にまだ指揮科が無かったので、導入される前のデモンストレーションとして試験的に行なわれていた「おためし授業」ということだったんですよね。
そのため、他の科の生徒も受けれるようになっていたのでした。
人にもよるとは思いますが、たとえ「おためし授業」でも、私はこの授業を受けてみて本当に良かったと思います。
それは、好きな音楽を聴くときに楽譜を読みながら『普段目立たないパートも、この曲ではこんなに重要な音を任せられているんだな』と気が付いたり、
テレビなどの映像で観ているときには『ここのパート、音を間違えてる!?』など細かい部分がわかるようになったからです。
何の邪念も無く、本当に無心で音楽を聴くこともステキですが、音の総合的な響きを聴きとる力や、楽譜に書かれてある曲の内容を理解する能力、それ以外の予備知識などがあれば音楽を楽しむ幅がもっと広がるので、ちょっと得した気分になれますよ!