ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

歌詞がなくても歌は歌!

ようこそ!ブーです。

 

今日は、「歌詞がなくても歌える」ということを紹介します。

 

歌というものは、音楽に言葉をのせて感情や情景を表現する事が多いですよね。

 

ですが、世の中には声をただ単に音楽に使うための音として使う表現方法があります。

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スキャット 

Scatスキャットは歌唱法のひとつで、「シャバダバー」「ドゥビドワァー」「パヤパヤー」「パラッパー」「トゥルットゥー」など、意味の無い言葉で歌う声楽の技法です。

 

スキャット唱法を初めて取り入れたのは、ジャズ・ミュージシャンで、歌手やトランペッターとして有名なルイ・アーム・ストロングと言われています。

 

彼は1926年に、「Heebie Jeebies」という曲の収録中に歌詞を忘れてしまい、咄嗟に適当な言葉で歌ってしまったそうです。

 

本来はNGテイクとなる録音でしたが、思った以上にスタッフに受けたのでそのまま完成品として使用し、その後スキャット唱法として定着しました。

 

発祥がジャズ音楽なので、このジャンルで使われることが多く、即興的にアドリブで歌われます。

 

 

 

スキャットで有名なミュージシャン“スキャットマン・ジョン”

Scatman Johnスキャットマン・ジョンは芸名で、本名はJohn Paul Larkin(ジョン・ポール・ラーキン)と言います。

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彼はアメリカ出身、1942年3月13日生まれで1999年12月3日に亡くなっています。

 

スキャットを使ったパフォーマンスを行うことから「Scat Manスキャットマン」という芸名を付けてしまうほど、スキャット1本に専念した特殊なミュージシャンです。

 

日本では、1994年に発表した「Scatman (Ski-Ba-Bop-Ba-Dop-Bop)スキャットマン」やプッチンプリンのCMがよく知られていると思います。

 

スキャットといえばこの人!と言われるくらい有名なジョンですが、彼は喋るときに意図せずどもってしまう「吃音症」という障害を持っていました。

 

吃音症は、「な、ななな、なんだって?」「わっわわ、わ、わかりました。」のように、言葉がスッと話せずに、音がどうしても連続して出てしまう症状などがあります。

 

この障害は「成長・発達の通過点」として、喋り始めの子どもが発症する事が多いですが、そのうち4分の3は成長とともに治っていきます

 

ですが4分の1は治っていないというのが現状で、原因も不明で治療法は確立されていません。

 

吃音症の子どもは、学校などでからかわれてしまう事が多く、喋るのが嫌になってしまうケースが非常に多いです。

 

ジョンは自分自身のそういった経験から「意味のない言葉ならどもっても問題がないのではないか」という結論に至りました。

 

その発想を踏まえて、「吃音症のある子ども達に希望を与えるためのパフォーマー」として歌うようになったのです。

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吃音症はハンデではなく、今では立派な彼のトレードマークですし、逆に障害があったことによって彼の音楽は「他の人にはマネのできない」味わい深いものになっています。

 

障害と向き合ったうえで自分に自信が持てるようになった人というのは、ハツラツとして輝いているし、なんだかカッコ良いですよね。

 

 

 

ヴォカリーズ

Vocaliseヴォカリーズは、歌詞の無い歌曲のことで「A、あ U、う…」などの母音を使って歌うこと(歌唱法)で、日本語では「母音唱法」と言います。

 

18世紀頃に、歌の練習として歌詞のない曲が作られた事が始まりです。

 

同じように歌詞のない曲でも、「母音だけで歌う」ヴォカリーズと「意味がなくても明確な言葉」を使うスキャットは、必ず区別されます。

 

フランス語の動詞「声にする、声だけで歌う」という意味のVocaliserから派生した言葉で、この歌唱法を使った曲名自体を指すことがあります。

 

クラシックでは、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」が有名で、歌詞がなくても音楽を聴いただけで物悲しさを感じる曲です。

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淡々と音を刻むように演奏される伴奏と、ため息のような歌の旋律は胸にグッと迫るものがあります。

 

もともと歌詞がないので、フルートやヴァイオリンなどのソロ楽器のために編曲されても違和感がなく、人気もあるので演奏される機会が多いです。

 

スキャットがポップな事に対して、ヴォカリーズはしっとりとした雰囲気がありますよね。

 

 

 

日本のヴォカリーズ

日本の作品で有名なのは、さだまさしさん作詞(?)・作曲の「北の国から~遥かなる大地より~」です。

 

明確な歌詞がないのでインストゥルメンタル(器楽曲)として紹介される事が多いこの曲は、CDの歌詞カードに「スキャット」と1言だけ説明が書かれているそうですが、曲中に「あ」と「ん」という母音のヴォーカルが入ることから、私はヴォカリーズなのではないか思います。

 

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北の国の壮大さを表したようなゆっくりとした曲調、トランペットの伸びやかな中に感じる切ない響き、包み込まれるような懐かしさも感じられます。

 

この曲がこんなに素晴らしいのは、即興で、しかも10分という短い時間で基礎が作られたもののため、さださんの「北国」のイメージが凝縮されているからでしょうね。

 

言葉で語らずとも、純粋に音楽の表現だけで伝えることができるなんてステキなことだなぁ…。

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