音楽科の入試 その②実技試験について
ようこそ!ブーです。
受験シーズン到来ということで、前回に引き続き音楽科の入試を紹介します。
今日は入試項目の実技試験についてです。
参考程度にご覧ください。
実技試験とは?
実技試験というのは、「あなた」がどの位の演奏技術を持っていて、どれだけ音楽(演奏曲)を理解しているか、そして自分の技量をキチンと把握しているかを、試験官の方が見たり・聴いたりする事で見極める試験です。
なので、難しい曲が弾けるからといって良いという訳ではありません。
そして試験官の先生が実技試験の会場に何人居るのかは、そのときにならないと分からないんです。
極端に多いところでは10人以上の先生がイスを並べて「ドーン!」と威圧的な感じで見ていますし、
逆に先生が2人とか少ない人数だと実施される部屋自体を狭くされて「うわぁ…、先生メッチャ近いやん!まったく集中できんし!(泣)」なんて事も…。
ピアノの場合
実技試験は、ピアノという楽器が大きいため小さい部屋で行われる事は少なく、だいたい大きい防音室かホールなどで行われ、自分の名前が呼ばれたらピアノがある場所に行き演奏します。
ときには発表会みたいに舞台に上がったりするので、注目されている事による疎外感も感じることでしょう。
ピアノの最高峰「スタインウェイ」社の楽器を使う学校が増えていますが、良い楽器といえどもチューニングや鍵盤の重さ、イスの具合などは普段練習している慣れたものとは確実に違うので、楽器が自分に合うか・合わないかは未知数です。
でも、心配しなくて大丈夫!
みんな良いコンディションとはいえない状態で臨む事がほとんどだからさ。
管・弦・打楽器の場合
実技試験は、防音室や合奏室(オケ室)が多いですが、ときには大きなホールに呼ばれて行われる事もあります。
いつもと違う環境で緊張して、息が上がってしまうと管楽器は演奏が辛くなっちゃうので落ち着いて臨みましょう。
大丈夫!伴奏者も居るから1人じゃないよ!
声楽の場合
実技試験は防音室や合唱室、ときにはホールなどで行われます。
声楽の場合も緊張して息が上がると声が出なくなってしまうので、伴奏者と息を合わせて落ち着いて歌いましょう。
声楽は自分が楽器で主役なんだから自信を持って!
実技試験の課題
課題は学校から指定される場合が多いので、ホームページなどでチェックして下さいね。
例として、各専攻で実際に使われてきた課題を解説付きで挙げていきます!
ピアノ専攻の課題
ソナタアルバム
ソナタ形式を使ったピアノ曲集でいろんな作曲家が個々に出しています。
曲の年代や作風によって難易度はさまざまです。
ソナチネアルバム1・2
ソナチネはソナタ形式を使った小作品のことで、ビックリするような難しい曲はありません。
タイプの違ういろんな作曲家の曲が一緒に収められている曲集です。
エチュード(練習曲集)
ツェルニー、クラーマー=ビューロー、モシュコフスキー、ショパンなどの作品集から選ばれることが多いです。
練習曲と言っても、ショパン作品のように演奏会で弾かれるような難しい曲もあるので注意!
3声のシンフォニア
バッハの作品で、音楽性は古典的ですが、3声というだけあってメロディやフレーズが3つも出てきて複雑…。
頭も手も混乱する、難しい印象の曲集です。
平均律クラヴィーア曲集 第1・2巻(プレリュードとフーガ)
こちらもバッハの作品で、古典的な音楽の基礎が詰まった曲集です。
「音が平均的な並びをしている」という原理が理解できなければ弾く事が難しく、また均等に弾く事が要求されるので、現代的な曲を得意としている人は難しく感じます。
音階
単純な音の並びと、基礎的な指使いの練習方法を集めた教本で、ハノンピアノ教本や全音楽譜出版社のものがあります。
自分の指使いと違うだけで複雑に感じてしまい、意外と強敵です。
自由曲
基本的には好きな曲を指定された時間で演奏します。(短ければ5~10分、長ければ30分程度)
課題の全てが学校側からの指定曲で構成されているところもあるので、自由曲は実施がない学校もあります。
自分の技量にあった選曲をしましょう。
声楽専攻の課題
コンコーネ
声楽の基礎的な教本で、歌詞のない曲集です。
歌詞がないことにより言葉の意味にとらわれることは無く、自分の発声しやすい母音などで歌えます。
しかし、純粋に歌声だけで勝負しなければいけないため、楽譜の通りに歌う技術力が要求とされます。
イタリア歌曲集・日本歌曲集・ドイツ歌曲集
伴奏がある歌曲で、それぞれ言葉の発音に注意が必要です。
外国語の歌詞でも、ちゃんと意味を考えながら歌いましょう。
独唱曲
アカペラ(無伴奏)で歌います。
頼りにできる音が無いので、音程が取りづらくて誤魔化しがききません。
自由曲
受験だからって「難しい曲」や「派手で華やかな曲」を選べば良いってわけではありません。
試験官の先生は「曲と声質が合っている」ことや「実力にあった選曲をしている」といった事を見ているんです。
身の丈にあった選曲をするように心がけましょう。
声楽実技の注意点
事前に楽譜を送ってあれば、学校側が伴奏者を用意してくれるときもありますが、その伴奏者とは事前にたくさん練習できるとは限りませんし、息が合わないこともあります。
なので「伴奏なんか無くても歌える!」と言える位、自分の歌に自信が持てるように練習しましょう。
管・弦・打楽器(器楽)・邦楽専攻の課題
基礎演奏
基礎演奏は音階や初見視奏など、演奏に必要な「基本の演奏技術が当たり前にできているか」を見る試験です。
音階は「ドレミファソラシド」を楽譜に提示された色々な手法で演奏します。
初見視奏は、当日に8~16小節ほどのメロディが書かれた楽譜が渡され、練習せずに演奏することです。
その他にも、各楽器の基礎となる演奏方法が試験内容になります。
独奏曲
無伴奏で演奏します。
弦楽器や金管楽器は音程を合わせるのが特に難しいです。
自由曲
楽器は難解でカッコいい現代曲も多いですが、古典的なものを選んだ方が演奏技量がわかりやすく試験での印象も良いですよ。
器楽実技の注意点
課題曲は各学校でそれぞれ違います。
その中でも自分に合ったものを選びましょう。
あと、なぜか器楽だけ暗譜が必要ない、という学校が多いんですよねぇ。
でも暗譜した方が「音楽的に理解したぞ」と胸を張れるし、入試のために一生懸命練習したんなら覚えてるよね?
ブーも高校入試のときは暗譜完璧だったよ…。大学入試はボロボロだったけど(笑)
作曲専攻の課題
和声
ソプラノ(高音)やバス(低音)の旋律が書いてあり、それに合うように音を付けていきます。
作曲とは違って、和声というルールに基づいて3つの音を当てはめ、4声になるようにしなければいけません。
対位法
音そのものの並びを大事にしている対位法というルールに基づいて、音を分散して書いていきます。
作曲課題
提示されたメロディと形式を使って作曲しますが、続きのメロディとその他の音は自由に付ける事ができます。
作品提出・音源提出
全て自由に作曲してよい場合と、学校側が課題内容を提示する場合があり、それにしたがって作曲します。
出願のときに、作品の「楽譜」や「録音」と「簡潔な解説」をまとめて提出する事が多いです。
録音は、CDやUSBメモリーなど提示されたもので行いましょう。
指揮専攻の課題
指揮専攻は特別なので、課題というよりは「これが出来なければ受けられない」というものを挙げていきます。
ピアノ演奏、ソルフェージュ全般、和声・対位法(理論的なこと)、スコアリーディング、楽器の特性、音楽の歴史など。
とにかく音楽全般が分かっていないと、入試を受ける事自体が難しいです。
それ以外の実技で注意する点
ピアノ専攻以外の人は、自分の専門・専攻となる実技のほかに「副科」としてピアノの実技を受ける事があり、試験が行われる場合は任意のピアノ曲を1曲演奏する学校が多いです。
とにかく落ち着いて頑張ることが大事だけど、落ち着こうと考えすぎて逆に緊張するのは本末転倒だぜ…。
あんまり深く考えずに、とにかく自分が音楽を楽しんでいれば、おのずと良い演奏も出来るんじゃないかな?