演奏中に起こってほしくないハプニング!<その①>
ようこそ!ブーです。
今回は2回にわたって、「演奏中に起こってほしくないハプニング」をご紹介します。
私の主観ですが、秋から冬にかけて<発表会・合唱コンクール・音楽祭・演奏会・コンサート・リサイタル・ライブ>などのイベントが増え、ジャンルは違えど生の音楽・生演奏に触れる機会が増えるのではないでしょうか?
生演奏は、普段聴いているような録音された音とは違い、会場に赴いて自分の目と耳で直接観たり・聴いたりするため、演奏者の表情や雰囲気、そして息遣いまで聴こえてきて、音楽という芸術をより一層身近に感じとることができて素敵ですよね。
ですが、そんな『生演奏』も音楽的に考えると良いことだけではありません。
生の演奏ということで、演奏者によって奏でられる「音」の部分だけではなく、演奏という人が起こす「行動」自体もリアルな時間で進みます。
なので、ミスしてしまうと即座に演奏した音楽に反映されてしまうという事です。
好んでミスをする人はいないと思いますが、ミスの原因となる予想外の出来事=ハプニングはいつ起こるかわかりません。
今回はそんなハプニングの中で、自分が体験したものや聞いたことのあるものをまとめてみました!
是非ご覧下さい。
ピアノ演奏でハプニング!
大事な場面で曲を忘れる
ピアノの演奏をする場合は他の楽器とは違い「暗譜」と言って楽譜を覚え、暗記した状態で演奏しなければいけない時があります。(発表会・コンクール・演奏会など…)
演奏者は本番に向けて最大限に覚える努力をしますが、普段の環境と違う大事な場面ということで緊張したり集中力を欠いてしまうことで、暗譜したのに頭の中が真っ白になりド忘れしたみたいになってしまうことがあるんですよね。
上級者になると忘れた部分は上手く飛ばして弾いたり、少し誤魔化すためにアレンジしたりと「臨機応変に対応」することが出来ますが、初心者の頃はそんな余裕はなく、つまづいたところを何度も弾きなおしたり、完璧に指が止まってしまって硬直なんてことも…。
ブーは短大の入試のときに、緊張のあまりサビの部分2ページ半をすっ飛ばして弾いてしまったことがあります。(汗)
ピアノ線が切れる
ピアノの音が鳴る部分に張られている弦は『ピアノ線』とも言います。
この『ピアノ線』は強い力(1本あたり約90kg)でピアノに張られているので、稀にピアノの新しい・古い、価格が安い・高いに関わらず「ブチッ!」と切れてしまうことがあるんです。
よく、ドラマや小説などのサスペンスもので《殺人事件の凶器》として扱われることがありますが、現実世界のピアノに張ってあるピアノ線は急に切れても怪我をしないような仕組みになっているので、安心して良いです。
とは言え、怪我はしなさそうだと分かっていても、切れてしまったピアノ線が他の「正常な弦」の部分に当たると雑音が生じたり演奏者の気が散ってしまい、結果的に演奏の邪魔になるので、なるべく早く取り除くことがオススメします。
弦楽器のハプニング!
弦楽器の弦や弓が切れる
ピアノと同じように弦が張られていて音が鳴る楽器でも、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスなどは弓で弦をこすり演奏する楽器(擦弦楽器)です。
そのため、値段の高いものや耐久性があるものを使っていたとしても、弦や弓の毛の部分は消耗品となります。
消耗品と言われるだけあって、演奏中に切れてしまうことがよく有るんです。
弓に張られているのは馬の毛で、切れてしまうと音の出が悪くなり演奏もしにくくなるので「毛替え」と言って毛の部分を取り替えなくてはいけません。
弦は楽器に対してバランスよく張られているので、1本でも切れてしまうと今まで確立されていたバランスが崩れてしまい、他の弦もつられて切れてしまうことがあるので全て張り替えたり、切れなくても音がズレてしまうので全ての弦を調節する必要があります。
上に書いた理由から、弦や弓の毛の部分の予備をあらかじめケースの中に用意している演奏者の人が多いですが、弦楽器の多くは木で出来ていて、湿気などによって多少の伸縮性のある楽器のため、音の高さが安定するまでに時間がかかるので注意が必要です。
弦楽器の弦が切れた話で1番有名なものは、1986年のタングルウッド音楽祭でヴァイオリニストの五嶋みどりさんが経験した「ヴァイオリンのE線が2度も切れるというアクシデント」だと思います。
映画「ウエストサイド物語」の作曲で有名な巨匠レナード・バーンスタインの指揮というだけでも話題性に富んでいるプログラムですが、ソロを任された五嶋みどりさんは当時たった14歳の少女で、小柄なため2/3サイズの楽器を使っている状態でした。
そんな中で起こったハプニングであるにもかかわらず、冷静な判断で自分の弦が切れた楽器の代わりに大人用のヴァイオリンを見事に弾きこなす奇跡的な演奏だったので「タングルウッドの奇跡」と呼ばれ、アメリカでは教科書に載るほどの武勇伝となっています。
声楽家のハプニング!
気持ちよく歌いすぎて、伴奏と合わなくなる
クラシックの「声楽家あるある」だと思いますが、ブーも学生のときに何度か体験した出来事です。
歌を歌うときには、アカペラや弾き語りでない限りは自分以外の演奏者=伴奏者が必要になります。
伴奏を頼むときには、もちろん自分の歌に合わせてくれる人や気の合う人に頼みますが、それでも自分ではない他人なので呼吸を合わせるために入念な練習をして本番に臨まなければいけません。
ですが、本番という状況で変に気分が高まって、普段の練習やレッスンでは簡単に出ない高音の部分が『スパーンッ!』と出るというミラクルが起きたりすると、その入念な練習を忘れて気の向くままに好きなだけ音を伸ばしてしまうクセが出てしまいます。(伸び伸び歌うのが気持ちいいんだな。笑)
自分自身も楽譜と違うように歌ってしまったことに焦るけど、予定にない場所でリズムを乱される伴奏者の方がもっと焦るでしょうね。(伴奏をしてくれていた友達、申し訳ない!汗)
歌詞を忘れてしまう…
クラシックの声楽で使われる曲のほとんどは、イタリア語やドイツ語、フランス語や英語など、外国語ばかりです。
理由は、クラシックの基礎となる西洋音楽を用いた日本歌曲の歴史が浅く、作曲家の人数と作曲された数が共に少ないからなのですが、馴染みがない外国語の歌詞はとにかく覚えるのが難しい!
そのため1番2番といったように、歌詞が多いものだと歌っていて言葉が混ざってしまったり、混ざってしまったことにより何番を歌っていたか分からなくなり無限ループに突入してしまう事もあります。
管楽器のハプニング!
緊張しすぎて…
ブーの知り合いで、トランペットの演奏中に緊張のあまり過呼吸になった人がいました。
慣れている人はいとも簡単に吹いているように見えますが、実際はかなりの肺活量が必要だったり、音量や長さによって息の量もコントロールしなければいけません。
考えただけでも息苦しくなりそうですが、それに加えて緊張してしまうと息があがるので過呼吸になり易いのではないかと思います。
打楽器のハプニング!
銅鑼を思いっきり叩きすぎて!
実際に、ブーがお客さんとして行ったオーケストラのコンサートで起こったハプニングです。
オーケストラがコンサートで演奏する曲目は、大体の場合が最後に1番盛り上がるもので、フィナーレに相応しい音楽的な華々しさと、それに比例した音量の大きい曲を持ってくる傾向にあります。
そのコンサートも例に漏れず最終曲がものすごく盛り上がるもので、打楽器では大太鼓と銅鑼という、楽器の中では1、2を争うほど大きな音がなる楽器が同時にガンガン鳴らされるような曲だったのですが、ハプニングはそのクライマックスで起こりました。
打楽器奏者が会場の雰囲気に飲まれて思いっきり銅鑼を叩いたため、普段にはない位の反動がつき、2発目を叩こうとしたときにスカって(空振りして)しまったのです。
演奏を観ていて、『あんなに激しく叩いて大丈夫なのかな?』と思っていた矢先の出来事だったので、やっぱりな…という感じでしたが、閉演後はその話題で持ちきりでした。
休みが多すぎて…
打楽器の先生から聞いたハプニングを紹介します。
先生がまだ若く駆け出しの演奏者だったころ、アルバイトとして地域のオーケストラに参加していたそうです。
個人練習などで時間をとられる割にオーケストラのお給料は安く、他のアルバイトも掛け持ちしていたため精神的にも身体的にも疲れていて、常に眠たい状態が続いていました。
オーケストラでも弦楽器や管楽器はメインの音の流れを担当しますが、打楽器は脇役扱いでお休みが何小節(多いときには何ページ)も続くことがあるため暇を持て余し、うっかり演奏中に居眠りしてしまったのです。
眠っていたせいで最後に出す重要な音を出し忘れ、指揮者に睨まれてしまったと言うことでした。
練習じゃなくて本番で居眠りしていたというのだから、よっぽど疲れていたんでしょうね…。
マリンバ演奏って意外と激しいんだね。
ブーは学生のころ、自分の楽器の分野に限らず人の演奏を観るのが大好きだったので、時間があるときには色んな人の練習を見せてもらっていたんです。
その日も放課後に、友達が実技試験(演奏のテスト)の学内演奏会に向けてマリンバという大きな木琴の練習をしているのを見学させてもらっていました。
聴いているうちに、ふと疑問に思ったことを何気なく彼に問いかけたのです。
『ねぇねぇ。そんなに激しく叩いてるけど、バチって折れたりしないの?』
そのときの返事は『古いのとか、先端が擦れて削れてきたら定期的に替えてるし、そうそう折れたりしないよ。』というものでした。
そして実技試験当日、彼の4本のバチを使ったマリンバ演奏はとても迫力があり、皆が聴き惚れているようす…。
曲がクライマックスに近づくにつれて演奏も激しくなり『今日はバチ同士がカチカチと、よくぶつかり合ってるな』と思った次の瞬間…
バキッ!!
ポト…コロコロコロコロ…
会場『シーン…』
恐れていたバチが折れるというハプニングが実際に起こってしまったのです。
私を含め、観客は『えっ!?』という感じで一時騒然としていましたが、彼が手をほとんど止めることなく予備として置いていたバチを即座に掴み直し、何事もなかったかのように演奏を続けたことにより、最後は観客全員に《良い演奏だった》という印象を与えました。
肝が据わっていたのか?はたまたプロ根性がなせるワザなのか?ということは聞いてみなかったので分かりませんが、とにかくブーが『折れないの?』と聞いたせいで本当に起こってしまったんだと責任を感じ、申し訳なく思ったので『本番前にあんなこと聞いてごめんね。』と謝りました。
友達がその言葉に対して『マリンバに限らず、打楽器のバチは折れるときは折れるんだよ』と悟った表情で優しく返してくれたことは一生忘れません。(笑)
次回もお楽しみに!
ハプニングとひとくくりに言っても、楽器ごとに「人的ミス」だったり「楽器の不具合」だったりと、色々種類あったので2回に分けました。
次回もお楽しみに!