これこそ天使の楽器、チェレスタ!でもいったいどんな楽器なの?
ようこそ!ブーです。
今日は天界で使われそうなくらいキレイな音がなる楽器、チェレスタを紹介します。
ブーがこの楽器の音を知ったのは、小さいときにCDで聴いたチャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」の<金平糖の精の踊り>でした。
「これ鉄琴の音だよな?この演奏者の人、速く弾けてスゴイ!」と、始めはそんな感覚で聴いていたんです。
でも聴いていくうちに「鉄琴って、こんなに速く弾けるわけないよね…?」と思い、魔法や魔術のような不思議で怖い感じがするようになってきました。
そこで調べてみたところ、このチェレスタはただの鉄琴じゃなくて、なんと鍵盤が付いた楽器だったんです!
チェレスタって何?
Celesta(チェレスタ、またはセレスタ)はフランスのパリで生まれた楽器です。
初めて商品化した会社が1886年に特許を得たので、他の楽器が紀元前からあるのに対して、チェレスタは結構最近できた楽器なんだなと思いました。
名前はイタリア語で「天国的な」という意味です。
音は鉄琴やオルゴールような可愛らしくて、キラキラした金属の音がします。
見た目は、学校などにある足踏みオルガンのような箱型です。
結構小さくて、学習机を置けるスペースがあれば余裕で置ける大きさをしています。
値段は150~200万円ほどなのでヴァイオリンやグランドピアノよりはお手ごろかな?
現在チェレスタを販売している会社は、日本の楽器メーカーヤマハ、ドイツの鍵盤楽器メーカーシードマイヤー社、同じくドイツの打楽器メーカーコルベルク社のみです。
それ以外の老舗や、チェレスタを初めて製作したミュステル社も今では生産をしていません。
中古だったら取り扱いのあるお店もあります。
どんな楽器?
チェレスタの音が鳴る原理は体鳴楽器(idiophone)で、演奏の仕組みは鍵盤楽器(keyboard instrument)、楽器の種類では打楽器(percussion)に分類されます。
体鳴楽器はトライアングルやカスタネットなど、楽器の本体から音がなるものです。
チェレスタの場合は、音板と呼ばれる金属の板が音の源になります。
鍵盤楽器はピアノのように鍵盤がついたものや、アコーディオンのようなスイッチ式のものがあります。
音を鳴らすための装置があって、それに連動したボタンがついている楽器のことです。
チェレスタの場合は、ピアノと同じような鍵盤がついています。
打楽器は木琴・鉄琴やマラカス、太鼓などの楽器で、音を鳴らすときに「叩く・こする・振る」といった、わりと原始的な方法で演奏するものの総称です。
チェレスタでは小さいハンマーで金属を叩くので打楽器に分類されます。
(↑イメージです↑)
チェレスタの構造(アクション)
見た目はアップライトピアノみたいな箱型で、 49~66個の鍵盤があります。
鍵盤の数の違いは、そのまま音の高さの違いになり、鍵盤が多いほど低音が増える仕組みです。
そして1~2つのペダル(ピアノと同じような足で踏むやつ)がついていて、音を伸ばすもの=ダンパーペダルと、音をやわらかくするもの=ソフトペダルの2種類があります。
ペダルが1つのチェレスタにはダンパーペダルだけ付いていて、理由は音楽では音を伸ばすことが多いからです。
楽器自体の音が小さいため、遠くまでよく聞こえるように工夫もされていて、構造上で必要な柱以外は金網なので中の構造が見えます。
スケルトンの時計とか好きな人には楽しい仕組みですよ。
中身は音が鳴る金属の音板(おんばん)と、それを響かせる共鳴箱(きょうめいばこ)と呼ばれる木の箱が入っています。
共鳴箱と音板は合わせて1セットですが、その装置の大きさに比べてチェレスタ自体の横幅が小さく限りがあるので、鍵盤数が少なければ2段、多かったら3段で縦に配置されます。
ヤマハ以外の会社のものは、本来の打楽器の演奏方法(上からバチで叩く)と同じで、鍵盤を押すとハンマーが下に落ちて板を叩くので、鍵盤が戻るときにどうしても構造のせいでハンマーが上に戻ってこない時があります。
その状態になってしまうと、同じ音を弾こうと思って鍵盤を押しても、ハンマーが叩いてくれないので音が出ません。
そうなると演奏に支障がでちゃうんですよね。
この点ではヤマハ製のものはピアノの構造と同じで、下から上にハンマーが板を叩くため、手を離すと自然にハンマーが下に戻る仕組みなので、演奏には支障がでません。
(↑イメージです↑)
しかしヤマハ製は演奏機能が良くなった分、思ったより音が大きすぎたり、
ペダルの位置が真ん中に寄っているので2台置いて演奏するときには都合が悪く、気に入らない人も居るみたいなので、そこは良し悪しです。
チェレスタはピアノよりもかなり軽く、足元にはちゃんとキャスターが付いているので移動がラクラクなイメージがあります。
誰が演奏するの?
楽器の音を出すためには、誰かが弾かなければいけません。
コンサートだったら、ヴァイオリンはヴァイオリニストが、ピアノはピアニストが演奏して、指揮は指揮者がするのがふつうです。
じゃあ、打楽器に分類さていれるチェレスタは打楽器奏者が演奏するんじゃない?と思いますよね!
でもチェレスタは、絶対に打楽器奏者が演奏しなければいけないってことは無いんです。
というか、ピアノが苦手な打楽器奏者が弾かなければならないんだったら、可愛そう過ぎます。
それは、チェレスタの演奏方法がピアノとほぼ一緒のため、楽曲もピアノと同じ基準で作られていて超難しいからなんです。
なので大体はピアニストが演奏することが多くて、逆に打楽器奏者が弾いてるのをみたら「おぉっ!あの人スゴイ!」ってなります。
どんな曲に使われている?
チェレスタが使われている曲には共通点があって、どの曲もキラキラした部分に使っています。
それは、オルゴールのような可愛い金属の軽やかな音がして幻想的なチェレスタの響きを、どの作曲者も似たようにイメージするからだと思います。
水のしずくや水面の揺らぎ、宇宙の星の輝き、そして光のキラメキなどの効果音にピッタリなので、使われている名曲はいくつもあるんですよ。
モーリス・ラヴェルはオーケストラ版の「海原の小船」で水面のキラメキや揺らぎを表すために、リヒャルト・シュトラウスは「アルプス交響曲」で水辺のキラキラとした幻想的な部分に使っています。
グスタフ・ホルストの組曲「惑星」の付け足しで書かれたコリン・マシューズの「冥王星」では、壮大な宇宙をさまよう星々のキラメキに使われていたりと大活躍しています。
もともと効果音として作られたチェレスタが、現代では立派にソロ楽器として成り立つようになり、プロの演奏者も出てきているのでブーとしては嬉しいかぎりです。
これからも沢山の人に聴いてもらえると良いなぁ。