日本語に訳された楽器の名前。〈その②〉
ようこそ!ブーです。
前回に引き続き『日本語に訳された楽器の名前』をご紹介します。
〈その①〉はこちらからどうぞ↓
前回はわかり易いスタンダードな楽器を紹介しましたが、〈その②〉では吹奏楽経験者や、音楽を趣味にしていたり音楽を専門に学んでいる人以外が、普段あまり目にしない楽器も取り上げてみました。
それでは、どうぞ!
六弦琴・六絃琴(ろくげんきん)
六弦琴は弦楽器であるギターのことです。(アコースティックとエレクトリックに関係なく)
名前の由来は、ギターという楽器の音がなる部分である弦の本数が6本(6弦)なので、「六弦琴」と付けられました。
ですが、現代では「4~18弦のギター」といったように、弦の本数が少ないものや多いものが存在しています。
それに加えて、音色を変えるために弦を張る場所を分けた「ダブルネック」や「トリプルネック」、「マルチネック」と幅広い楽器の種類があるので、名前をつけた時の定義が根本から覆されています。
四弦琴・四絃琴(しげんきん)
四弦琴はベースという「低音を担当するギター」のことです。
名前の由来は、楽器の音が鳴る部分である弦の本数が4本(4弦)なので、「四弦琴」と付けられました。
ですがギターと同じように、ベースも現代では「1~12弦のベース」といったように、弦の本数が少ないものや多いものが存在しています。
そしてギターと同様、音色を変えるために弦を張る場所を分けた「ダブルネック」や「トリプルネック」、「マルチネック」と幅広い楽器の種類があるので、名前をつけた時の定義が根本から覆されています。
(ちなみに、コントラバスはダブルベースやウッドベースという別名をもちますが、四弦琴ではありません。)
そのうえ、日本には〈四弦琴〉という名前は同じでも別の楽器があるんです。
ベースと同じように弦が4本ですが、棹 (ネック) の長さが約1メートルの「三味線に似た琴」であり、音色の全く異なる楽器のため、混同しないように注意が必要となります。
その他の弦楽器
現在では漢字で書かれたり呼んだりすることはあまりないので情報が少ないのですが、知っている限りの弦楽器の名前をまとめてザックリと紹介します。
楽器の名前を日本語にした場合、中国語を基にしているものが多く、日本語の読みが不明なものが多々あったため、代わりに『こう読むんじゃないかな?』と個人的に考えた読みや、中国語の読みを書いてみました。
中国語の読みは、私が聞いた発音で表記しているので、本来の読みとは異なるかもしれません。
その点は、あしからずご容赦願います!
琉特
琉特はリュートという弦楽器のことです。
日本語での読みは不明ですが、個人的には「りうと」や「りゅうと」か「りゅーと」もしくは「るうと」あたりではないかと思っています。
由来となった中国語では「琉特琴・魯特琴=ルゥトェキンもしくはルゥトェチン」となります。
現代の中国では、『演奏方法や音色が異なるケド、見た目が似ている弦楽器の琵琶』と混同されているようです。
(うん、確かに似てる…)
リュートはヨーロッパに古くからある古楽器で、6~18世紀頃までは独奏楽器としてだけではなく、合奏や歌の伴奏としても幅広く楽しまれていました。
ギターのように弦をはじいて演奏しますが、ギターや他の楽器と比べて音量が小さいことと、和音などの細かい演奏を瞬時に行なうことが困難という理由から、徐々に衰退していったのでした。
曼徳林(まんどりん)
曼徳林はマンドリンのことです。
マンドリンもギターのように演奏することができ、大きさ(全長)は一般的なギターが90~100㎝台に対して、60㎝台の全体的に小さめな楽器なので、『手が小さいからギターは無理』という方でも扱いやすい楽器です。
班鳩・班卓(ばんじょう)
班鳩・班卓はバンジョーという弦楽器のことです。
由来となった中国語では「班鳩琴・班卓琴・班祖琴=バンジョーキンもしくはバンジョーチン」といいます。
バンジョーは、アフリカ系アメリカ人が作った楽器で、ギターのように弦をはじいて演奏します。
変わった見た目をしていて、薄いスネアドラムにネックをつけたような形をしているので動画のように打楽器としてリズムを刻むこともできるハイブリッドな楽器です。
関係があるかは分かりませんが、斑鳩は日本では「いかるが」とも読み鳥の名前や町の名前にもなっています。
三角琴(さんかくきん)
三角琴はロシア発祥のバラライカという弦楽器のことです。
この楽器は、名前の通り三角形の見た目をしていて、ギターのように演奏します。
この動画では弦楽器が2つあり、大きさが全然違うので一見すると別の楽器のようですが、実は両方ともバラライカなんですよ~!
管楽器
喇叭(らっぱ)
喇叭は金管楽器(トランペットのような形と演奏方法の楽器)の総称として使われています。
他の楽器が、見た目や演奏方法で名前が付けられていることに対して、喇叭という漢字の名前が使われている理由は調べても書いてありませんでした。
ですが個人的には、漢字の意味が関係しているのではないかと思います。
- 喇の意味は「おしゃべり、早口、甲高くしゃべる」
- 叭の意味は「口を開けたさま、口から発せられる音や声の形容」
ということなので、『おしゃべりな人の声ように甲高い音が鳴る楽器』という解釈で良いでしょうね。
低音管・低音笛(ていおんかん・ていおんぶえ)
由来となった中国語では「巴松管=バンソングァン、低音管=ディイングァン」となります。
木管楽器の中では、もっとも低い音を担当する楽器なので「低音」という漢字があてられました。
角笛(つのぶえ)
角笛はホルンの総称です。
ホルンの由来は、狩をするときの合図として使われていた楽器の「動物の角で作られている角笛」で、今でも「角」という意味を持つイタリア語ではCorno、フランス語ではCorという名前で呼ばれています。
ちなみに、ホルンではなくオーボエに似た楽器のイングリッシュホルンは、日本語で「英国管」といいますが、このようにホルンという名前がついていても違う楽器が多くあるので注意が必要です。
欧巴
欧巴はオーボエのことです。
日本語での読みは調べても出てきませんが、 完全にオーボエを基にした当て字なので「欧巴=おーぼえ」で良いと思われます。
黒管
黒管はクラリネットのことです。
日本語の読みは不明ですが、個人的には「くろかん」、「こくかん」、「こっかん」だと思います。
由来は、ボディーが黒色で細長い筒状・管状の楽器だからです。
打楽器
鐘琴(しょうきん)・鐘(かね)
鐘琴・鐘はチューブラーベル(チャイム)のことを指します。
チューブラーベルという名前は馴染みが無いと思いますが、NHKの番組「NHKのど自慢」では審査用の鐘にも使われているので、音色自体は聴き馴染みのある楽器だと思います。
太鼓(たいこ)
太鼓はドラム系の打楽器を総称するときに呼ばれます。
日本でも同じような構造の楽器「和太鼓」や「鼓=ツヅミ」があるのでわかりやすいですね。
定音鼓
定音鼓はティンパニのことです。
ティンパニは、足元についているペダルやハンドル、または本体を回転させることで音の高さを調節することができ、通常の太鼓と違い楽譜に書いてある定められた音程を正確に演奏することができるため「定音鼓」と呼ばれているようです。
日本語の読みは不明ですが、中国語では「定音鼓=ディンイングゥ」と読みます。
木琴(もっきん)
木琴はシロフォン(ザイロフォン)やマリンバなどの「木製の板をピアノの鍵盤のように音の高さ順に並べた打楽器」の総称です。
ちなみに、マリンバは「馬林巴」という当て字が使われています。
鉄琴(てっきん)
鉄琴は「金属製の板をピアノの鍵盤のように音の高さ順に並べた打楽器」に当てられた日本語の名前です。
ヴィブラフォンなどの大きな楽器から、マーチングで使われているベルリラやグロッケン(グロッケンシュピール)のように小さな楽器、そして調律されていないようなオモチャまで、全てまとめて「鉄琴」と呼ばれています。
三角鉄(さんかくてつ)
三角鉄はトライアングルのことです。
トライアングルは本来「三角形」という意味があるので、見た目や素材の特徴をそのまま名前にした感じですね。
鉄という漢字が入っていますが、実際の素材は鉄ではなく鋼鉄という「鉄と他の金属をまぜて強度を増した合金」が使われています。
鈴鼓
鈴鼓は打楽器のタンバリンを指します。
由来となった中国語では、「铃鼓・鈴鼓=リングゥ、手鼓=ショウグゥ」となりますが、日本語での読みは不明です。
ジングルと呼ばれる鈴がついた太鼓のような楽器なので「鈴鼓」と呼ばれています。
その他
鳩琴(きゅうきん)
鳩琴はオカリナという笛のことです。
鳩の鳴き声に音色が似ているので鳩という漢字が使われるのは分かりますが、どう考えても琴っぽくはないので「鳩笛」と呼ぶ方がしっくりくる感じがします。
ですが、日本には別の楽器で鳩の形をした鳩笛があるので、オカリナを鳩琴と呼んでいました。
ところがイタリア語でオカリナは『小さなガチョウ』という意味なので、「鳩琴・鳩笛」のどちらにしても日本語の名前をつけたときのミスだということが発覚しました。(笑)
馬頭琴 (ばとうきん)
日本では馬頭琴として知れわたっているのが、モンゴルを代表する伝統的な弦楽器モリンホールです。
モンゴルの言葉で「馬の楽器」という意味があり、名前の通り楽器の棹の先端部分が馬の頭の形をしているため中国と日本では「馬頭琴」と呼びます。
弱音器(じゃくおんき)・消音器(しょうおんき)
楽器の名前ではありませんが、この2つは楽器を演奏するときの機能で考えると、とても重要な役目をもつ道具や機能のことです。
弱音器はミュートを指します。
ミュートは、楽器の音が出る部分に蓋をして聴こえてくる音を弱める(小さくする)効果と、音楽的な表現のために音の強弱や音色を変える目的で使われることがある道具や機能のことです。
例として、金管楽器のミュートする道具と、ピアノのミュート機能をもったペダル↓
消音器はサイレンサーやサイレント機能のことを指します。
サイレンサーは、楽器から出る音を消す(出なくする)効果や、ミュートと同じように楽器の音が出る部分に蓋をして音を弱める(小さくする)効果のある道具や機能のことです。
例として、ピアノの消音機能をもったペダル↓
ミュートとサイレンサーのどちら共、楽器の音が騒音になることを防ぐために使うことができます。
知ってたら教えてね!
私が今現在知っている「日本語に訳された楽器の名前」は以上になります。
今回、日本語に訳された楽器の名前を調べてみて『なるほど~!』と感心したものもありましたが、『見た目のままの名前だな!』とか『オカリナ…鳩でも琴でもないし!』とか、ツッコミどころもあって面白かったです。(笑)
新たに日本語に訳された楽器を見つけたら、そのたびに追記していきますので『他にも日本語に訳してある楽器を知ってるよ!』という方がいましたら是非、教えてくださいね!
そして音楽では楽器以外にも、日本語に訳されている用語などが多くあるので、また記事にしたいと思います。