ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

ガムランボールとポロンちゃん

ようこそ!ブーです。

 

今日は、美しい音が鳴る鈴のような楽器「ガムランボール」を紹介します。

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ガムランボールのもとになった楽器(諸説あり)

ガムランボールのもとになったと言われているのが、ドルイドベルです。

 

ドルイドベルの発祥は古代ヨーロッパまでさかのぼります。

 

その当時、ヨーロッパを支配していたケルト系民族は自然崇拝の多神教であり、宗教的な儀式はドルイドと呼ばれる神官によって導かれていました。

 

そのドルイド達が瞑想を行うために造りだしたが「ドルイドベル」といわれています。

 

ケルト系民族は、紀元前1200~200年の青銅器時代~鉄器時代にヨーロッパへ広がり、文明や文化を築き上げてきたため金属の扱いにたけていたのでしょう。

 

それからかなり経って、20世紀にドイツの銀細工師がこの鈴の美しい音色に着目し複製したものが、現在知られているガムランボールの基礎になっています。

 

その鈴は、アメリカのヒッピー達に人気が出たことから「オルゴールボール、ハーモニーボール、ミュージカルボール、ドリームボール」など様々な名前で世界各国に広がっていきます。

 

ヒッピーは、1960~1970年代のアメリカにおいて、伝統や制度などの既成の価値観に縛られた人間生活を否定することを信条とし、自然とともに生きた文明以前の野生的な生活へと戻ろうとした人々の総称です。

自然と平和と歌を愛し、人間として自由に生きるというスタイルで活動していたので、自然崇拝だったケルト系民族と似たような思想を持っているといえます。

 

本来のドルイドベルはヨーロッパらしい装飾が施されていますが、現在オルゴールボールと呼ばれるものではシンプルな球体の商品が多く流通しているようです。

 

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バリ島で作られている「ガムランボール」

神々の棲む島といわれているインドネシアのバリ島が「Gamelan Ballガムランボール」発祥の地です。

 

ガムランボールの語源となっている「Gamelanガムラン」は、バリ島に古くから伝わる青銅製の楽器で、宗教儀式の際、神に捧げる音楽を奏でるものとして欠かすことができません。

(ガムランは「gamelガムル=叩く、打つ、つかむ」という言葉から派生した言葉)

 

その伝統楽器で奏でられる音楽と、同じような美しい音色が鳴るので「ガムランボール」と言います。

 

ガムランボールはガムランに使われているものとはまったく違う楽器ですし、歴史は浅く、最近になってお土産品として作られ始めたものなので、宗教儀式に使われる事はありません。

 

ですが「神々の棲む島」といわれているバリ島で作られていることと、その不思議な音色が相まってガムランボール自体も「神秘の楽器」と呼ばれます。

 

バリ島では自然のものすべてに神が宿っているとされていて、ガムランボールの丸い形も神が宿る「月」を表していて、モチーフも海、星、月、花などの神聖とされている自然のものからデザインされていてオシャレです。

 

このように、伝統的なモチーフが神秘のパワーを出していると考えられ、ガムランボールは別名をボラ・ミンピ(ドリームボール)とも言います。

身に着けていると「願い事が叶う」という言い伝えられているのもこのためです。

 

 

装飾

ガムランボールは大きく分けてジャワンタイプバスケットタイプの2種類があります。(ジャワンは小さい粒の事)

 

ジャワンタイプは、銀の粒と銀を細い糸状にしたものをバーナーで炙って溶接し装飾を施しています。

その中に真鍮でできた音が鳴る本体のボールが入っており、バスケットタイプのように外側に別枠がないため、ボールが持つ本来の音色が出やすいようです。

 

バスケットタイプは、外枠のバスケット(かご)の中に真鍮のボールが入っているもので、ボールとかごの部分を取り外すことができ、ボールの色が選べたり、ストーンなどの装飾品を付けたり、かご自体も細かいデザインを施す事ができます。

 

ジャワンタイプとバスケットボールを比較すると、ジャワンタイプの方が少し音が低く大きいです。

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音色の違い 

種類・大きさが同じガムランボールであれば、全て同じ音が鳴りそうなものですが、1つとして同じ音色のものはありません。

 

 

それは、ボールの内部がオルゴールの振動板(櫛歯)と同じ原理・構造で出来ているからです。

 

2重構造になっている本体の板の厚みや、中に入っている音を鳴らすための真鍮の欠片の大きさによって、見た目は同じでも音に差が出ます。(音の大きさは、サイズに比例して変わる)

 

なので、買うときには自分の目と手と耳を使って、好みのデザインかどうかを見て実際に触って好きな音色かどうかを確かめて買うことをオススメします。

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実際に聴くと、もっと良い音がするんだけどなぁ…。

 

ガムランボールの音色を聴くときは、握りこんで振ったり、指で両側から挟んで持ってしまうと音の響きを止めてしまうので、手のひらの上で転がして聴くことが推奨されています。

 

輪っかが付いているものは、そこを取っ手として持って鳴らしてみましょう。

 

 

 

呼び方のまとめ

ドルイドベル

上で説明した通りです。

 

ケルトボール

ドルイドベルを作ったケルト系民族から名前を取って付けられました。

ドルイドベルとは名前が違うだけでまったく同じものです。


オルゴールボール

構造や音色がオルゴールに似ているため。

 

ハーモニーボール

いろんな響きや重なりの音が鳴るため。

 

ミュージカルボール

その時々に違った華やかでキレイな音が鳴るため。

 

ドリームボール

夢のように美しい音が鳴るため。

 

メルヘンクーゲル

Märchenメルヘンは「空想的・神秘的な内容の、短い説話、おとぎばなし、童話」、クーゲルは「球・玉」という意味。(ドイツ語)

 

メルヘンラトル

ラトルはマラカスのように振って音を鳴らすことが出来る打楽器の総称。

 

ガムランボール

上で説明した通りです。

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日本のガムランボール的な楽器

日本にも輸入されたものや、日本製のガムランボールがありますが、鳴り物として日本で独自に作られたものが存在します。

 

 

水琴鈴(すいきんれい、すいきんすず)

水琴窟の音を鈴で再現したものということですが、作りはガムランボールとほぼ同じです。

 

そのため鈴の形はしていても、普通の鈴のように下に切れ込みは入っていません。

 

幸運を呼ぶお守りとして神社やお土産屋さんなどで販売されています。

 

水琴窟は日本庭園などに見られる装飾の1つで、手水鉢の近くの地中に作られた空洞に水滴が落ち、その音が空洞内で反響することにより、金属が振動したような美しい音が鳴ります。

 

 

赤ちゃん用のおもちゃ 

ガムランボールと同じ手法で作られた鈴は、耳に優しい音色を奏でるので、赤ちゃん用のおもちゃに使われることが多く、有名なものでは「ガラガラ」や「おきあがりポロンちゃん」などを挙げることが出来ます。

 

ポロンちゃんの演奏動画です。↓

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「子どものためのおもちゃ」を大人の男の人が演奏しているシュールさと、何とも言えない表情の「ポロンちゃん」が何個も並んでいることによって狂気じみた、一見するとホラーのようなパフォーマンスではありますが、その音色には癒されるのではないでしょうか。

 

ガムランボールやポロンちゃんの音色には、精神の安定やリラックス効果があると考えられます。

 

人間は美しいと感じる音を聴いたり、良い香りなどを嗅いだとき、脳内でエンドルフィンと呼ばれるモルヒネ(麻酔に使われている薬)と似た効果のある神経伝達物質が出て、脳波の状態も落ち着くそうです。

 

なので赤ちゃんだけでなく、育児中のお母さんにこそポロンちゃんを聴いてもらって安らぎを得てもらいたいですね。

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