ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

ピアノ初心者におすすめ!ギロックの魅力。

ようこそ!ブーです。

 

今日は「ギロック」という人物と、ピアノ初心者におすすめしたいギロックの魅力を紹介します。

 

 

 

ギロックという人物

William L. Gillock(ウィリアム・ギロック、1917年7月1日~1993年9月7日没)はアメリカ出身の作曲家で、音楽教育分野の第一人者音楽教育家)です。

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世界中で使われるような「ピアノ初心者向けの練習曲集」を作曲した、ツェルニー、バイエル、ブルグミュラーなどの有名な作曲者は1800年代に生きていたので、1900年代に生きたギロックは練習曲業界では新参者といえます。

 

彼は、21年もの間「ピアノ講師」として音楽教育に携わり、その経験から作曲活動だけではなく全米音楽倶楽部連合会の会長を務め、ピアノ教師のための講習会でアメリカ全土を訪れました。

 

ギロックの作品は教育用の音楽ということなので、作曲の内容は古典的・初歩的な技法を使うという縛りがありますが、そのなかでも『美しくロマンティックな音楽を工夫して書いていた』という点がシューベルトと似ています。

 

ロマン派時代初期の作曲家であるシューベルトは、それまでの「古典的な古い考えの音楽」を「ロマンティックで詩的・叙情的な音楽」へと変えた先駆者だったので、理由は違いますが同じような境遇にあったと考えられたため、ギロックは「教育音楽作曲界のシューベルト」という通り名が付けられました。

 

そんなギロックの作品でおすすめなのは「叙情小曲集」と「子どものためのアルバム」です。

 

この2つの曲集は初心者でも弾ける難度のため、今では演奏会やコンクールなどでも演奏されるようになりました。

 

 

 

ピアノ初心者におすすめしたいギロックの魅力

ギロックをピアノ初心者におすすめしたい理由は4つあります。

 

  • 1つ目は、曲が難しそう(あたかも名曲のよう)に聴こえること
  • 2つ目は、難しそうに聴こえるのに初心者でも演奏できる難度(簡単)であること
  • 3つ目は、演奏者の欲求に応えていること
  • 4つ目は、ピアノを始めたばかりでも色んなジャンルの音楽に挑戦できること

が挙げられます。

 

魅力その①「曲が難しそうに聴こえる」

ギロックの曲を演奏すると、難しく聴こえる曲ばかりなので「名曲を弾いているんだ!」という精神的にプラスの感情(錯覚?)が持てるので、ピアノを始めたばかりの人のモチベーションを上げてくれる効果があると思います。

 

名曲を演奏すると「こんなに難しそうな曲を弾いている自分ってスゴイ!」という演奏者の自信に繋がり、その自信によってピアノを演奏することの楽しさがめばえたり、練習を頑張ろうという気持ちまでも引き出してくれるので、スキルアップへの近道ではないかな?と私は考えるのです。

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魅力その②「初心者でも演奏できる難度

『難しい曲に聴こえるのに、簡単に演奏することが出来るわけない!』と思われるかもしれませんが、ギロックはその作曲技術によって初心者でも演奏できる難度の曲を書くことができました。


ショパンの「別れの曲」の雰囲気に似た「色あせた手紙」や、ドビュッシーの「月の光」に寄せた同じ題名の「月の光」などが良い例だと思います。

 

動画の9番目が「色あせた手紙」、11番目が「月の光」です。

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このような名曲に似せた作曲ができるカラクリは、和音という「音のかたまり」に秘密があります。

 

和音の構成を名曲と同じものにしているので曲全体の響きがとても似ており、聴衆は演奏者が名曲を演奏しているような錯覚を起こしますが、実際には名曲に使われている和音をなるべく簡単に弾けるように簡略化したものなので、演奏のコツさえ掴めば名曲ほど難しくはありません。

 

あたかも難しい名曲を演奏しているように聴こえますが、1曲の演奏時間が1分程度と短い曲が多いということと、子ども達や初心者の方にも弾けるような程よい難易度のものばかりなのでおすすめです。

 

難度の他に、タイトルから曲の内容を想像することができるという事もピアノ初心者にとっては心強いことだと思います。

 

演奏に必要な情報の1つとして、ギロックはその曲の雰囲気をタイトルにしていることが多いのです。 

 

このことは、初心者の方に有りがちな『曲のイメージがわからないから、どのような雰囲気で、どんな風に感情をこめて弾いていいのかがわからない。』といった悩み事の解決にも繋がります。

 

 

 

魅力その③「演奏者の欲求に応えている

ピアノ初心者の憧れといえば、ペダリング(音を伸ばすペダルを踏むこと)や手を交差させるテクニックなどが挙げられますが、これらは普通の練習曲だと中級~上級にならないと出てこないものです。

 

ですが、ギロックの練習曲だとこういったテクニックが多く見られます。

 

『難しい曲に挑戦してみたい、』という演奏者の欲求を満たしてくれるということで、モチベーションが上がり演奏意欲の向上に繋がりますよ。

 

 

 

魅力その④「色んなジャンルの音楽に挑戦できる

ピアノを始めた頃は「音楽を1つのジャンルに絞り、それを重点的に練習することが演奏技術を上げるために効率が良い」と考えられている節があります。

 

ですが、それでは演奏者にモヤモヤしたような気持ちが生まれてしまうときがあるんです。

 

『このジャンルは嫌いじゃないけど、ちょっと飽きてきたなぁ』なんてことありませんか?

 

ですが、ギロックはクラシックだけでなく、ジャズやブルース、民族音楽などを織り込んだ曲作りをしているため、色んなジャンルの音楽に挑戦することができるので飽きが来ず、このことは演奏者にとって大きな魅力となることでしょう。

 

『オシャレなジャズバーとかで流れていても不思議じゃないなぁ~』と思う曲もありますよ!

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他にも、1台のピアノを2人で演奏する連弾曲などバリエーションも豊富なので、ギロックの作った作品は発表会などで華やかさを添えてくれること間違いなしです!

 

 

 

ギロックさん、もっと早く出会いたかったよ…。

今回ギロックを紹介した理由は、自分が初心者のときにギロックの存在を知らなかったからです。

 

私が初心者だった頃は、ハノン、ツェルニー、バーナム、バスティン、バイエル、ブルグミュラー、ソナチネなどの楽譜を使っていました。

 

もちろん、上に書いたものは「初心者が使う順当な楽譜」なので、演奏技術が上がることは間違いなく、それを実感しながら練習することは楽しかったです。

 

ですが、私が求めるような「好きな世界観の音楽」という点では満足感を感じることはありませんでした。

 

上に書いたギロックの魅力をもっと早く知っていたら、私の演奏技術も上がったのかな?と思うと少し悔しいです。(笑)

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