ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

「ウォーター・ゴング」という演奏方法。

ようこそ!ブーです。

 

今日は、ゴング銅鑼演奏方法の1つである「ウォーター・ゴングを紹介します。

 

 

ゴングや銅鑼ってどんな楽器?

ゴングと銅鑼は、金属で作られた円盤のような形をした打楽器で、バチを使って叩いて演奏します。

 

スタンダードなものでは、こんな音が鳴ります。音量注意!↓ 

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厳密に言うとゴングと銅鑼は違う楽器です。

 

材料・演奏法・音などがとても似ているので、音楽家によっては混同している場合があり、楽譜にはひと括りに「Gong ゴング」と書いてあることが多いです。

 

そのため。一体どちらを使ったら良いのか判らなくなりますが、そんな時には楽器の特性を知っておくと区別するのに便利です。

 

楽譜に音程(音の高さ)の指定がある場合には、大きさや形によって「ドレミファソラシド」という風に音程がキッチリ決まっているゴングを必要な数セットにして使います。

 

一応、銅鑼も大きさによって音の高さは変わりますが、きちんとした音程の変化に対応するようには作られていないので、無理して使う必要はないというわけです。

 

逆に楽譜には「高い・低い」と書いてあるだけで細かな音程の指定がない場合には、音の響きが一定で深く、華やかな印象の銅鑼を使います。

 

 

 

Gongゴング

ゴングはベトナムやインドネシアなどの東南アジアが発祥といわれている楽器です。

 

吊り下げ式のものや、横並びに紐で張るものがあります。

 

大きさや、叩く面にある中央部分の突起によって音程が分かれていることが特徴で、演奏の時には複数個を1セットとして使うことが一般的です。

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鉢のような形をした物が主なので、ベトナム語で鉢を意味するchau-gongチャウ(チョウ)・ゴングとも呼ばれます。

 

英語のGongは、このゴングを指す場合もありますが、「銅鑼」や「お皿の形をした」といった風に混同して使われる事が多いです。

 

 

 

銅鑼ドラ

銅鑼は中国が発祥の楽器なので、Chinese-gongチャイニーズ・ゴングとも呼ばれます。

 

ですが、厳密にはゴングではないのでTamtamタムタムと呼ぶのが一般的です。

 

フリスビーのような形をしていてゴングよりも平べったいものが多く、シンプルな作りをしていて、専用のスタンド(枠組み)に吊るして叩いて音を鳴らします。

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銅鑼は中国が発祥の楽器ですが、近代的・前衛的な作曲家の多くは、オリエンタルでエキゾチックな魅力がある銅鑼を曲の特徴的な効果音として使いたがりました。

 

 

 

ゴングと銅鑼の特徴

ゴングや銅鑼を数えるときの呼び方は、枚、個、台、セットでも良いですが、枠組みに吊り下げて演奏されることが多いので、本来は「挺=ちょう」or「丁=ちょう」と呼びます。

 

楽器単体=1挺では音の高さを変えることはできませんが、楽器の大きさによって音の高さが変わる特性があるので、必要な音の数を1セットとして使う場合があります。

(ドレミという3音が必要な場合、1セットは3挺になる)

 

音の高さに合わせて、大きさは15~100cm越えのものまで色々な種類があるので、単体で使う場合でも、曲の雰囲気にあった音の高さのものを選んで使うことができます。

 

楽器の素材は青銅・真鍮・鉄などが混ぜ合わせて作られ、演奏するために使うバチは太鼓を叩く物のように様々な素材のものを使うことができます。

 

バチの種類を変えることによって音色に変化を持たせることが出来るので、音楽を彩るための重要な役割を与える事ができます。

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バチ以外にもハンマーで叩く事があり、その場合には音を和らげるためにタオルなどを当ててその上から叩きます。

 

 

 

ウォーター・ゴングという演奏方法

「Water Gongウォーター・ゴング」は、音色を変化させるためにゴングや銅鑼を水に浸けて行なわれる演奏方法です。

 

ゴングと名前に付きますが、ウォーター・ゴングで使われている楽器のほとんどは銅鑼です。

 

この動画ではきちんとゴングが使われています。聴いてみてね。↓

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本当に独特な音ですよね。

 

ゴングを水に浸けることによって、音が低くなり、くぐもっているように聴こえたと思います。

 

上下の動きを連続させることによって、『ボワンボワン』としたドップラー効果のような不思議な響きも感じたのではないでしょうか?

 

得体が知れない感じがするので、私はこの音が少し怖いです。(笑)

 

 

 

ウォーターゴングの生みの親

「ウォータ・ゴング」という演奏方法を使い始めたのは、「4'33"」という曲でお馴染みのJohn Cageジョン・ケージという作曲家です。

 

この記事の最後の方でも紹介した、あのジョン・ケージです。↓

boosensei.hatenablog.com

 

彼は独自の音楽理論を持っていたので、他の音楽家が思いつかないような突拍子も無い演奏法を数多く生み出しています。

 

「水の音楽」や「Water Walk」という水を使った曲や、自分の周りにある自然の音すべてを音楽と考えていた異端児です。

 

 

 

 

水を使うって大変!

音楽で水を使うには、それ相応のリスクや手間がかかります。

 

まず、水に浸けることで楽器が傷むので木製で作られた楽器は使えません。

 

そして、練習するときや舞台上に水を準備することはとても大変です。

 

段差が多いところで運んでいるときや、もし演奏中に引っかかって零したら…と考えると気が滅入りそうだ。(汗)

 

ウォーターゴングでは、キャリーストッカー(コロ付きの衣装ケース)を使うことができるので、運ぶ事に関しては若干ストレスが軽減できると思います。

 

音を聴いたり、演奏の様子を見たりする人は楽しめますが、準備する側となると『相当面倒くさいだろうなぁ…』と思うので、もし観る機会があれば真剣に見ようと思ったのでした。

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