ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

拍子記号について【その②】

ようこそ!ブーです。

 

今回は、2回にわたって「拍子記号」について紹介しています。

 

【その②】は、仕組みを知っていないとリズムがとりにくい「複合拍子」・「変拍子」・「1拍子」・「可変拍子」・「ポリリズム」の説明です。

 

 【その①】はこちら↓

boosensei.hatenablog.com

 

 

 

複合拍子

複合拍子は、音符に付点が付いているときに使われます。
 
付点音符では拍子記号として書くことができないので、単純音符を代用するしかありません。
 
たとえば、「付点2分の2拍子」を「4分の6拍子」という風に書くものや、
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「付点4分の3拍子」を「8分の9拍子」といった風に書かれる拍子で、
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音楽のノリとしては音符が3個で1拍という数え方をするので、付点音符1拍を3等分にした数が拍子記号として使われます。
(6拍子は2拍子、9拍子は3拍子、12拍子は4拍子
 
なぜ1拍が3等分にされるかというと、音の時間的な長さを表す音価というものが関係してくるからです。
 
音価とは、楽譜に書いてある音符と休符の長さ、1つの音符や休符が次の音符や休符に行きつくまでの楽譜上の距離のことです。
 
 
複合拍子は6拍子・9拍子・12拍子があり、ほとんどは2拍子(4拍子)・3拍子に分けることができますが、純粋な6拍子・9拍子・12拍子も存在していて、その場合は「1つの強拍」と「残りの個数分の弱拍」で構成されています。
 
 
 

変拍子

変拍子は、単純拍子と複合拍子に当てはまらない拍子です。

 

本来は、単純拍子や複合拍子を組み合わせた拍子を変拍子、特殊拍子、混合拍子」と呼び、5拍子・7拍子・8拍子・9拍子・10拍子・11拍子があります。

 

 

5拍子

5拍子は、3種類に分けられます。

  • 2拍子と3拍子(強拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍)の組み合わせで出来ているもの。
  • 3拍子と2拍子(強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍)の組み合わせで出来ているもの。
  • 純5拍子は単純拍子や複合拍子の組み合わせではなくて、純粋な5拍の拍子の(強拍・弱拍・弱拍・弱拍・弱拍)で出来ているもの。

 

5拍子は西洋音楽にはない拍子で、スラブ音楽(ロシアやブルガリア辺りの民族的な音楽)などから引用された拍子です。

 

イレギュラーなものでは、

  • 2拍子と3拍子の組み合わせ+3拍子と2拍子の組み合わせを混合したタイプ
  • 2拍子と3拍子の組み合わせ+他の拍子を混合したタイプ 

などがあります。

 

 

7拍子

7拍子は4種類に分けられます。

 

  • 2拍子・2拍子・3拍子の組み合わせや、4拍子・3拍子の組み合わせ(強拍・弱拍・中or強拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍)で出来ているもの。
  • 3拍子・2拍子・2拍子の組み合わせや、3拍子と4拍子の組み合わせ(強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍・中or強拍・弱拍)で出来ているもの。
  • 2拍子・3拍子・2拍子(強拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍)を組み合わせて出来ているもの。
  • 純7拍子は、単純拍子や複合拍子の組み合わせではなくて、純粋に7拍の拍子の(強拍・弱拍・弱拍・弱拍・弱拍・弱拍・弱拍)で出来ているもの。

 

 

イレギュラーなものでは、3拍子と4拍子の組み合わせ+4拍子と3拍子の組み合わせを混合したタイプがあります。

 

 

8拍子

8拍子は、3種類に分けられます。

 

  • 2拍子・3拍子・3拍子(強拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍)の組み合わせで出来ているもの。
  • 3拍子・2拍子・3拍子(強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍)の組み合わせで出来ているもの。
  • 3拍子・3拍子・2拍子(強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍・弱拍・中or強拍・弱拍)の組み合わせで出来ているもの。

 

 

9拍子

本来、複合拍子に分類される9拍子は「拍が3等分される3拍子」として存在していますが、曲によっては変拍子として機能している9拍子もあり、この場合は、3拍子・2拍子・4拍子の組み合わせで出来ています。

 

 

10拍子

10拍子は、足して10拍になる拍子になれば良いので、様々な単純拍子と複合拍子の組み合わせがありますが、純粋な10拍子の音楽もあります。

 

 

11拍子

11拍子は、足して11拍になる拍子になれば良いので、様々な単純拍子と複合拍子の組み合わせがありますが、純粋な11拍子の音楽もあります。

 

 

変拍子が拍子記号としての意味以外で使われる時

単に曲の途中で最初に書かれた基準の拍子以外の拍子に変わるときに「この曲は変拍子の曲だ」という風に言われることもあります。

(実際には可変拍子というものです。)

 

 

1拍子

本来であれば、1拍で数えることのできる曲はありません。

 

それは、音楽にはメロディというものがあり、何かしらの音楽形式にのっとって作られていて、ただ淡々と鳴っているわけではないからです。 

 

1拍子が主に曲中に他の拍子とのつなぎとして、音楽的に重要な効果を与えるためだけに使われるものを指すため、『1拍子を拍子という枠に収めていいのか』という事については色んな説があるため、今でも議論されています。

 

ですが、世の中には2分の1拍子や、1分の1拍子の曲もあったり、見た目は3拍子ですが「1拍が3等分された1拍子」という解釈をされる曲もあります。

 

 

可変拍子

可変拍子は、曲の最初に書かれていた基準となる拍子ではない拍子に途中で変わるものを指します。(単に変拍子とも呼ばれる)
 
曲の雰囲気をガラっと変えたいときに、一緒に拍子まで変えることで音楽的により盛り上がるので、1つの作曲手法として使われることがあります。
 
近代曲では可変拍子によって、わずか数小節単位で拍子がコロコロと変わることがあり、周期性や統一性などのまとまりが感じられないものもあります。
 
こういったときに最初の基準として書かれている拍子記号そのものの役割は、作曲する上で普通は楽譜に書かれているので一応設定だけはしておく位の適当なものになります。
 
メロディー重視の楽曲に対して楽理的に拍子を数えた時に、意図せず可変拍子になる場合があります。
 
 

ポリリズム(各声部異拍子)

ポリリズムとは、1つの曲の中で複数の違うリズム(拍子)が同じ場所に重なって使われている多重リズムのことで、「複数のリズムが重なっている」という意味です。

 

演奏される時は同時なので不思議な感じがすると思います。

 

たとえるならば、長さの違う紐を付けた振り子のように徐々にかみ合わなくなり、一定の時間経つとまた再びかみ合うようになる現象と同じです。

 

拍の異なるリズムによって独特のリズム感(グルーヴ)が生まれるため、各国の民族音楽にもよくみられます。

 

複雑で、一見すると無秩序のようですが、必ず共通する拍があるので一定の時間が経つと1つのリズムとしてのまとまりができるんです。

 

演奏するには正確なリズム感がなければ、たちまちそのリズムは崩れて音楽として聴き苦しいものとなってしまいます。

 

一番簡単な例

わかりやすく4分の4拍子で説明します。

 

4分の4拍子で刻まれている音楽と、4分の3拍子で刻まれている音楽が同時に演奏されるとします。

 

分子(音符の個数)の最小公倍数は3×4=12なので、12拍目の次の13拍目(4小節目の1拍目)でリズムの頭の音が再び一致するんです。

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もし拍子の分母となる音符の種類が異なるときには、分母の小さい方に合わせることが必要です。

拍子の基準になる音符の種類は、「4分音符、8分音符、16分音符、32分音符、64分音符、128分音符…」と様々にありますから、間違えないように気をつけましょう。

 

女性3人組テクノポップユニットのPerfume(パフューム)の楽曲「ポリリズム」にも、タイトルの通りこの拍子が使われています。

 

 

数字を振り分けれたら…

このように色々ある拍子をうまく応用して、数字をうまく振り分ける事ができれば、拍子を持たない複雑な音楽にも拍子記号を当てはめることが出来ます。
 
拍子を持たない音楽でも数字が解っていれば、小節の長さ・テンポ(速さ)・リズム(拍子)などを知ることができ、楽譜がより読み進めやすくなるんですよ。

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