ただ切るだけじゃない「スタッカート」の使い方。
ようこそ!ブーです。
今日は、音楽の演奏記号「スタッカート」と、似た意味の記号について説明します。
「スタッカートって音を短く切るあれでしょ?」と思われる事が多いですが、実はそんなに単純ではないんです。
staccatoスタッカート
スタッカートとはイタリア語で「音を切り離して」という意味の演奏記号で、アーティキュレーションの1つに分類されます。
アーティキュレーションとは曲全体に使うものではなく、音の細かい部分に表情・メリハリをつけるための音楽記号の総称です。
音の粒を整えたり、音同士のつながり方を表すことや、強弱をつける記号が分類されています。
話を戻しましょう!
スタッカートは音を短くするんじゃなくて、あくまでも切り離すので「ブチッ」と切らなくても良いということなんです!
演奏者それぞれの解釈で短くしたり、「今のはスタッカートなのか?」というくらい微妙な音の離し具合(長さ)にしても良いので、意外と自由が利きます。
演奏の時には、軽やかに音を区切る気持ちで弾くことがオススメです。
一般的に「音を切って、その音を短く、半分の長さ(音価)で」という風に誤解をまねくような説明がされていることが多いですが、
もしスタッカートが「音を切って、その音を短く、半分の長さ(音価)で」という意味であれば、音符の種類を変えることによって「半分の長さ」に、休符を使う事で「残りの半分は休んだ状態」に出来るので必要がなくなりますよね?
そこで、「なぜその音にスタッカートが使われるか」を考えてみましょう。
作曲する人は曲のイメージを大切にしていて、それを「聴いている人にどうやったら伝わるんだろう」と思いながら作っています。
細かいニュアンスでイメージを変えることなく、また音符自体の響きや休符を使わずに音を区切りたいときに役に立つのが「スタッカート」ということなんです。
記号は、音符の上か下に点「・」を書いて表します。
略は「stacc.」です。
似た意味の記号
mezzo staccatoメッツォ・スタッカート(メゾ・スタッカート)
mezzoは「やや・適度に・中くらいに」という意味があり、メゾ・スタッカートは「音を適度な長さで切り離す」となります。
「適度ってどれくらい」と思うかもしれませんが、曲(作曲家)によって解釈が違ってくるので明確な長さはありません。
演奏の時は、音(鍵盤)を充分に押さえてから離すようにしましょう。
記号はスタッカートと同じ「・」と、適度な長さを表す「 ー or ⌒ 」を組み合わせた形をしてます。
staccatissimoスタッカティッシモ(スタッカーティッシモ)
語尾のissimoは「きわめて・最も・非常に」という意味があり、スタッカーティッシモは「音をきわめて短く切る・鋭く離す」となります。
演奏するときは、音(鍵盤)を軽やかに叩いて離すと良いでしょう。
音符の上か下に書かれ、こんな感じの鋭い「▼、▲」記号が使われます。
martellatoマルテッラート
語源になっている「マルテッロ」はイタリア語でハンマーという意味なので、
マルッテラートは「ハンマーのように打ちつける音、強いアクセントをつけて跳ね返るような音」にすることです。
演奏するときは、音(鍵盤)を重く叩きつける気持ちで指を落とすとハンマーで叩いた感がでます。
指を痛めないように注意が必要です!
記号はスタッカーティッシモと同じ「▼、▲」のマークによって表され、意味合いも似てますが、スタッカートから派生した記号ではありません。
音を保つレガートが変化したものと考えられているので、無理に音を離すのではなくハンマーと同じ原理で「はじかれる」ようなイメージを持つと良いでしょう。
ブーが考える「スタッカート」の演奏の仕方
ブーは演奏するときに「音をなるべく間違わずに演奏する。その中でも自分らしい表現で感動してもらえる。」ことが出来れば幸せだと思っています。
それを実現するには、楽譜に書いてある音・音符が「なぜそこに存在しているのか・なぜその記号がついているのか」を考えるんです。
スタッカートの記号が付いている場合は「ただ音を離す」のではなくて、ワザワザ記号がついているんだから「その音を“特別”なものにする」気持ちで演奏する事にしています。
そうすると、スタッカートが付いている音符が「自分は特別なんだな」と思って良い響きになってくれる気がするんです。