世にも奇妙な、ハイドンの交響曲第45番『告別』
ようこそ!ブーです。
今日は、「交響曲の父」として有名なハイドンの世にも奇妙な交響曲を紹介します。
ハイドン
Franz Joseph Haydn(フランツ・ヨーゼフ・ハイドン1732年3月31日-1809年5月31日没)はオーストリアの作曲家です。
交響曲や弦楽4重奏曲の先駆者であり、良い曲もたくさん書いたので「交響曲の父」・「弦楽4重奏曲の父」と呼ばれ、現在でもクラシックの重要な人物として学校でも習うことがあります。
世にも奇妙な、ハイドンの交響曲「第45番」
Symphony No.45 F-sharp minor・Hob.Ⅰ:45・交響曲第45番嬰ヘ短調は、1772年頃に作曲され『Abschiedssinfonie告別』というあだ名です。
ハイドンの作品番号には、音楽学者のホーボーケンがまとめた「ヨーゼフ・ハイドン主題書誌学的作品目録」で付けられたHob.(Hoboken-Verzeichnisホーボーケン番号)が使われ、ジャンルによってⅠ~ⅩⅩⅩⅠ(1~31)とローマ数字で書かれます。
Ⅰ=交響曲です。
この曲は、交響曲の形式通り4つの楽章で構成されているにもかかわらず、演奏時間は約25分と短く、
基本の楽器構成も、オーボエ2、ファゴット1、ホルン2、第1ヴァイオリン2、第2ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1、コントラバス1、の計13人で少ないです。
楽器構成はハイドンが勤めていたエステルハージ家の宮廷楽団員の人数だったと考えられます。
なので、現代の演奏会では見栄えがするように人数が増やされて演奏されることが多いです。
曲を聴いた感じは、
- 第1楽章は、荒々しく緊迫した雰囲気。
- 第2楽章は、のっそり・ゆったりとしていますが、何かたくらんでる感じがします。
- 第3楽章は、楽しさと不満の音が交互にやってきます。
- 第4楽章は、何だか細かくて急いでいる様子ですが、徐々におだやかに・静かになります。
書き出してみると、意外と普通ですね。
どこが「世にも奇妙」なの?
この曲は最終楽章のときに演奏中にも関わらず、演奏者が少しづつ舞台から去っていきます。
演奏者が座っていたイスがズラーッと並んでいるのに、
最後にはヴァイオリンたった2人と指揮者のみという、「他の人、神隠しにでもあったんかな?」と思うくらい、なんとも不思議な空間が出来上がるんです。
(演奏者によってさまざまな演出があり、指揮者が居なくなる場合もあります)
演奏会で観るその衝撃は言葉に表せないですねぇ…。
初めてこの演奏を観る人だったら、「え…えぇ?ちょっと!ちょっと!!みんな、どこに行くの?」って怖く感じると思います。(知っていたら笑っちゃいますけどね)
でも、本当に楽譜にそういう指示があるんだから仕方が有りません!
しかも曲が秀逸に作られています。
その場で観ていれば人が減っていくようすがわかりますが、CDでは演奏者が居なくなったかどうかわからないくらい、本当に徐々に音が小さくなっていって、まったく不自然さを感じないんですよ。
本当にハイドンってスゴイな!
ハイドンの優しさ
この曲、実は彼が雇い主であるエステルハージ侯爵に宛てて作曲した抗議の曲なんです。
エステルハージ侯爵が離宮に滞在している期間が長くて、一緒に勤めていた宮廷楽団の人たちが家に帰れなくて家族を恋しがってることを代弁(代曲?)するためにワザワザ作曲しました。
しかも当時は、演奏が終った順にロウソクの火を消して去っていくという演出つきでした。
口で「帰らせてくれ」っていうことは簡単だけど、演奏を聴いて・観てわかるようにした理由は、
- エステルハージ侯爵に直接言うと侯爵に恥をかかせてしまうから。
- エステルハージ侯爵と楽団員の間に角が立たないようにするため。
なので、ハイドンは人のことをよく考えた優しい人だなと思いました。
音楽が好きなだけあってエステルハージ侯爵も良い人で、演奏した翌日に楽団員たちは無事家族のもとに帰ることが出来たそうです。
良かった~!