ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

年始に絶対聴くよね、アノ琴と笛の曲。

ようこそ!ブーです。

今日は、今年最後のブログなので年始によく聴くアノ曲について書きます。

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記憶に残りやすいメロディ

「テン…テケテケテケテン……、テン…テケテケテケテン……♪」

一度は耳にしたことがあるのでは無いでしょうか?

 

アノ曲の題名は「春の海」です。

「春の海」は1929年末に宮城道雄さんが作曲した、箏(そう)と尺八の2重奏曲です。

 

お正月によく聴くのになぜ「春」が付くのか不思議ですよね。

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それは元々この曲が歌会始と呼ばれる、年の始めに行う和歌や短歌を詠む会の勅題にちなんで作られた曲だからです。

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勅題は天皇さんが出す歌のお題で、歌会始のときに次の勅題が決まります。

1930年昭和5年は「海辺の巖」というお題だったのでそこから「海」を、そして歌会始が行われるのは旧暦の立春付近ということで、詠まれる歌の季語が「春」となり合わせたら「春の海」と上手く当てはまりますね。

寒い冬に聴く曲ですけど、こう考えると全然不思議じゃないです。

 

箏とか尺八を使っているので「日本古来からの格式ある曲」と思われがちですが、実は西ヨーロッパの音楽に影響を受けて作曲されているため、伝統的な日本の音楽とは言えません。

ですが、楽器も含めてちゃんと日本的な雰囲気満載の名曲です。

 

お正月の風物詩としてだけでなく、今では小学校の音楽教育の鑑賞用教材としても指定されています。 

 

 

作曲のモチーフとなった場所

作者の宮城さんは、お父さんが朝鮮に居て、お母さんとは4歳頃に離別したため、祖父母に育てられていました。

8歳になる頃には失明したため、この曲は失明する前から祖父母と住んでいた、故郷の広島県福山市の鞆の浦から着想を得て作曲されたのです。

 

鞆の浦の海流は、満潮時には豊後水道と紀伊水道が鞆の浦沖でぶつかり、干潮時は逆に鞆の浦を境に東西に分かれるという珍しい場所で、

その豊かで美しい海と沿岸部沖の5つの島は名勝(文化財の種類の1つ)としても知られています。

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宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」の舞台になった場所でもあり、近年メディアに取り上げられるようになりました。

 

 

使われている楽器の説明

使われている楽器は弦楽器で、お琴じゃなくて箏だそうです。

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箏は弦の部分にあらかじめ音程を調節するための(はしらと書いて、と読みます)があり、弦の数が13~17本と多いことも特徴となります。

琴は音程をすべて手で押して調節する伝統楽器の総称で、弦の数は1~6本と箏と比べるとかなり少ないです。 

演奏方法は両楽器とも右手の親指・人差し指・中指に象牙製のを着けてはじいて音を出し、左手で弦を押さえて音の高さを変えます。

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もうひとつの楽器は尺八という木管楽器で、竹などで作られた音域が2オクターブほどの縦笛です。

虚無僧が吹いているイメージですが、リコーダーと違って簡単には吹けず、熟練した演奏技術が必要になります。

 

美しく澄んだ音も出ますが、演奏者の技量によってはオバケが出てきそうなオドロオドロしくて荒々しい音も出せる、とても奥の深い楽器です。

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きっと来年も、新春の買い物をしながら聴くんだろうな。

お正月の三が日の間で、いったい何回聴くか数えようと思います!

発表はしませんけどね。(笑)

 

それでは、

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