ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

泣きたいときにオススメ、フォーレ作曲「夢のあとに」

ようこそ!ブーです。

 

今日は、フォーレ作曲「夢のあとに」を紹介します。

 

 聴きながらご覧ください↓

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大人になってから、子どもの頃に比べて涙を流すことが極端に減っていると思いませんか?

 

日常生活では、辛いことがあっても大抵の場合は我慢ができるようになって、1人の時ですら涙を流すようなことが少なくなりました。

 

「あぁ、これが大人になるって事か…」と思いますが、たまには涙を流すことで気持ちをリセットして、新鮮な気持ちで健やかな日常を送りたいですよね。

 

この曲は、そういうときに聴いてほしいオススメしたい作品です。

 

 

フォーレ

Gabriel Urbain Fauré(ガブリエル・ユルバン・フォーレ1845年5月12日-1924年11月4日没)はフランスの作曲家です。

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彼の作風は、フランスの田舎を思わせるような素朴で素直な曲が多く、時に物悲しさや哀愁が漂う奥深い響きを生み出します。

 

 ロマン派時代の作曲家ですが、その時代に見られるような「古典的な調性の崩壊」や「多調・無調」に縛られることが無かったため、音楽史上に残るような新しい様式を作ってはいません。

ですが、昔とその時代の音楽の良いところを組み合わせることによって、独自の音楽を確立し貫いた真面目な人物です。

 

 

「Aprés un rêve夢のあとに」op.7-1

「Trois mélodies3つの歌」という歌曲集の第1曲目です。

 

有名なのはチェロやヴァイオリンのために編曲されたヴァージョンですが、元々この曲は歌曲でした。

 

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女性の歌手が歌うことが多いですが、歌詞が男性目線なので男性歌手の方がシックリしますね。

 

この曲の歌詞は、イタリアのトスカーナ地方に古くから伝わる詩を、フランスの詩人ロマン・ビュッシーヌ(Romain Bussine1830年11月4日-1899年12月20日没)がフランス語に翻訳しました。

 

歌曲は、発音がしやすくて歌いやすいといわれているイタリア語やドイツ語で作詞されることが多いので、この曲のようにイタリア語からフランス語へワザワザ翻訳されていることはフォーレがフランス出身だとしても珍しいです。

 

 

詩の内容

前半は、夢の中で出会った美しい女性と幻想的で幸福に溢れる世界が描かれています。

 

後半は、夢から覚めて現実に戻ったこの歌(詩)の主人公が、あの幸せなひとときを思い嘆き悲しむというものです。

 

今時風に言うと「夢オチ」というやつですね。

 

 

歌詞の内容

 

Dans un sommeil que chamait ton image,
Je rêvais le bonheur, ardent mirage.
Tes yeux étaint plus doux, ta voix pure et sonore,
Tu rayonnais comme un ciel éclairé par l'aurore

 

夢の中にあなたの美しい姿があった、
私の幸福の夢、燃え上がる幻影。
あなたの瞳はとても優しく、声は澄んで響いた、
あなたは輝いていた 暁に照らされた空のように

 

Tu m'appelais et je quittais la terre
Pour m'enfuir avec toi vers la lumiére.
Les cieux pour nous entr'ouvraient leurs nues,
Splendeurs inconnues, lueurs divines entrevues

 

あなたは私を呼び 私は地上を離れた
二人して光の彼方に逃れるために。
空は私たちのために天空の扉を開き、
見たこともない麗しさ 神からの微かな光が見えた

 

Hélas! Hélas, triste réveil des songes,
Je t'appelle, Ô nuie, rends-moi tes mensonges,
Reviens, reviens radieuse,
Reviens, Ô nuit mystérieuse!

 

あぁ、あぁ、 なんという悲しき目覚め、
私は呼ぶ、おぉ夜よ、あの人の幻影を私に返して、
もう一度、もう一度輝かせておくれ、
もう一度、おぉ謎に包まれた夜よ!

 

 

基になった詩

Levati sol che la luna' elevata
Leva dagli occhi miei tanto dormire,
Il traditor del sonno m'ha ingan nata,
Il bello amante m'ha fatto sparire,

Se lo ritrovo quell' amor giocondo
Io mai più mi farò tradir del sonno,
Se loritrovo quell' amor gentile,
mai più dal sonno, mi farò tradire

Se lo ritrovo quell' amor giocondo,
Se lo ritrovo quell' amor gentile,
Mai più mai più dal sonno dal sonno
mi faró tradire!

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感想

神様は時にとても無情だということを曲に込めて、短調の暗い曲調で書かれています。

 

なんとも切ない上がり下がりが激しい揺らめくようなメロディは、涙なくしては聴けないですよね。

 

歌詞の内容も「何で目が覚めてしまったんだ」という悲しみがヒシヒシと伝わってきましたし、フランス語独特の訛りのおかげでさらに哀愁が漂っていました。

 

ブーは元々チェロヴァージョンが好きだったのですが、今回聴いてみて歌詞ありも好きになったので、これからは両方聴いて涙を流すことにします。

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