雨の日にオススメの曲!【その②】
ようこそ!ブーです。
前回に引き続き、雨の日にオススメの曲を紹介していきます。
【その①】はこちらから↓
東洋の湿気が多くてどんよりとしたこの季節でも、ステキな音楽を聴いて情緒が感じられると気分も多少は晴れるはず!
是非、お気に入りの曲を見つけてみてください!
舟歌(チャイコフスキー)
詩からインスピレーションを得てチャイコフスキーが作曲したピアノ曲集が「Les Saisons四季」です。
四季を通じて1年を12ヶ月で分けた曲集なので全12曲で構成されています。
その中の6月の曲として書かれたものが“Barcarolle舟歌”です。
人気のある曲なので器楽曲にも編曲されています。
物悲しいゆっくりとしたメロディは、気だるげな様子で櫂を持ちユラユラと舟を漕ぐ船頭さんの様子を良くとらえています。
船に揺られているようなゆったりとしたリズムなので、雨の日の夜に聴くとよく寝れそうですね。
練習曲 第3番 作品10の3(ショパン)
ショパンの全部で27曲あるエチュード(練習曲)の1曲で、通称『別れの曲』です。
コロコロ変わる音の速さは寂しい心の内を表しているようで、聴いているとギュッと胸が締め付けられます。
ショパン自身も「これ以上に美しいメロディは作ったことがない」と語っているほど、繊細で美しい名曲です。
この曲を聴きながら、雨の中お散歩してみるのも風情があって良いと思います。
練習曲 第12番 作品25の1(ショパン)
こちらも27曲あるエチュード(練習曲)の1曲で、通称「エオリアンハープ」といいます。
甘美な響きを持った高音のメロディと、雲のように広がりがありフワフワとした伴奏が美しい曲です。
雨のパラパラとした感じにも似た音の粒が使われているので、雨の日に聴くにはピッタリではないでしょうか。
ノクターン作品9の2(ショパン)
Nocturne,op.9-2
この作品はショパンのノクターン(夜想曲)の中で、もっとも有名で人気のある曲です。
この曲は繊細な響きが特徴なのでシットリとした雰囲気によく合います。
雨の日の定番といえば読書ですよね?
この曲なら、邪魔にならず良い気分で本が読めると思いますよ。
組曲「動物の謝肉祭」より“白鳥”(サン=サーンス)
サン=サーンスの作品『Le carnaval des animaux - Grande fantaisie zoologique 動物の謝肉祭(動物学的大幻想曲)』は全部で14曲あります。
「動物の謝肉祭」の中で1番有名なのが、第13番目の曲となるこの“白鳥”です。
水面をゆったりと優雅におよぐ1羽の白鳥がイメージできる美しい曲です。
雨の日の夜に、夜景を楽しみながら聴いてみるのもステキだなぁ…。
組曲「動物の謝肉祭」より“水族館”(サン=サーンス)
「動物の謝肉祭」は他の作曲家をバカにするためのパロディとして作られた曲も入っているので、サン=サーンスが生きている間は演奏を禁じていたというエピソードつきの作品です。
第7曲目の“水族館”はパロディではなく、大きい水槽の中を魚がユラユラ泳ぐ様子を不思議な雰囲気で表しています。
異世界へと連れて行ってくれそうな不思議な響きですよね。
雨が降った後の湿度が高くて蒸し暑い日に聴けば、ひんやりした気分になれるハズ!
5つの小品op.75 (シベリウス)
モミの木は一年中葉っぱが枯れることなく、青々と繁り続けることからフィンランドでは「永遠の命」の象徴とされています。
低音で演奏されるしっかりとしたメロディ部分は、森の中で霧や雪に囲まれボンヤリと佇む大きな大きな樅の木の「永遠の命」を思わせるドッシリとした様子が感じられます。
高音でキラキラと鳴る音の粒は、樅の木の細かい葉っぱに付くキラキラした水滴や氷の粒、北欧に吹く冷たく厳しい風を想像することができるでしょう。
雨が降った後の湿度が高く蒸し暑い日でも、北欧の雰囲気漂うこの曲を聴けば涼しい気分になれるのではないでしょうか。
吟遊詩人(シベリウス)
ハープの音や幻想的なハーモニーが美しく、薄暗い雨の日に聴くと雰囲気の出る曲です。
交響曲 第5番 第4楽章(マーラー)
交響曲 第5番は作曲家マーラーの絶頂期に書かれた作品といわれ、この第4楽章は特に人気があり、その甘美さや聖母を思わせるような粛々とした様子から「愛の楽章」という愛称もあります。
雨が降る中、母親を求める幼い子どもがトボトボと歩いては不安にさいなまれて立ち止まるような、胸が締め付けられるメロディなので、「愛の楽章」というよりは「愛を渇望する楽章」だと思うんですけどね…。
ハープと弦楽器だけで演奏される甘美な響きと、アダージェットという速度記号が使われ非常に遅く演奏されることで、より感動を呼ぶ仕様になっています。
雨の日は、気分が落ち込む方が多いのではないでしょうか?
そういう時は無理して明るく振舞うのではなく、一旦落ち着くために、こういう心が揺さぶられる曲を聴いて気持ちをリセットすることがオススメです。
虹のかなたに(ハロルド·アーレン)
「Over the Rainbow 虹のかなたに」は、1939年に公開されたミュージカル映画「オズの魔法使い」で使われた劇中歌です。
『虹色に輝くアーチの先にある世界へ行くことを夢見ている』部分はぬくもりを感じる音の響きで、『その願いが叶わないかもしれない』という不安な気持ちは少し切ないメロディで表現しています。
お天気雨のときは『雨が上がったら虹が出るかもしれない』とワクワクした気持ちになるので、この曲がよく合うのではないでしょうか。
雨に唄えば(ナシオ・ハーブ・ブラウン)
原題は「Singin' in the Rain」、1952年に公開されたミュージカル映画『雨に唄えば』のテーマソングとして有名ですが、映画を観たことがない人にも広く知られています。
唄っているのは、 ジーン・ケリーというアメリカの俳優さんです。
映画史に残る名シーンで使われているのがこの曲で、雨にぬれてもお構いなしにタップダンスを踊りながら唄う姿は清々しく、雨のネガティブな印象を180度変えてくれます。
雨の日でも、この陽気な歌を聴けば楽しい気分で過ごすことができるでしょう。
紹介しなかったけど…
他にも雨や水、虹などをテーマにした曲はいろいろあります。
ですがその全てがシトシトと降る情緒のある雨音や、美しい表現のものとは限りません。
自然現象を音楽で表すのですから、激しく降る雨音や雷などの表現も入ります。
そうすると、私の好きな雨のイメージではなくなってしまうんです。
なのでクラシック曲で雨と言ったら『ショパンの“雨だれ”』が上位に食い込むのに、今回は紹介しませんでした!(笑)
ショパン、ごめんね!
雨の日にオススメの曲!【その①】
ようこそ!
雨の日は外に出るのが憂鬱なので、好きな音楽を聴きながら過ごしているブーです。
キラメキが感じられる曲や響きが美しい曲を聴くと、ジメジメした天気でも風情があるように感じてしまうから、音楽って不思議だなぁ…。
今日は、そんな雨の日にオススメの曲を紹介させて下さい!
雨とはまったく関係の無い曲が多くて、私の好みによる偏りもありますが、楽しんでいただけると幸いです。
水の戯れ(ラヴェル)
水に関係した曲といえば、この「水の戯れ」が上位に挙げられるのではないでしょうか?
キラキラした音楽の中にわざと不安定な音を紛れ込ませることで、水が零れ落ちて流れていくような揺らぎを表現しています。
この曲を聴いていたら、田んぼの水ですら幻想的に見えてきそうですよね。
亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
この曲は、幼い王女を描いた絵画からインスピレーションを受けて作られた曲で、『若くして亡くなったこの王女も、パヴァーヌを踊っていたかもしれないな…』とラヴェルが妄想を膨らませて書き上げました。
パヴァーヌとは「孔雀のようにゆっくりと優雅に踊るダンス」のことです。
ゆったりとした、悲しみと優しさが入り混じった曲調は、教会で使われていた音の並びを使っているものなので、切ないだけではなくて、どこか懐かしい響きも感じることができると思います。
シトシトと降る、長雨のときに聴きたい名曲です。
映像 第1集“水の反映”(ドビュッシー)
水が湧き出してくると水面にユラユラと波紋が広がり、そこを覗くと映っているのは自分?それとも他の世界の住人なのだろうか?
そんな不思議な水の反映をあらわした曲です。
均等な和音の流れは、徐々に広がっていく波紋の特徴をよく捉えています。
ときどき小魚が横切っていくようなチョコチョコした音の表現や、水の中に差し込む光の筋のように感じるのは高音から次々と降り注いでくる音でしょう。
豊かな水の流れは高音と低音が入り混じることで、ダイナミックに表現されていて圧巻です。
この曲を聴いていたら、泥水でできた水溜りからでも異世界に行けそうな気がします。
版画「雨の庭」(ドビュッシー)
簡潔なタイトルとドビュッシー作曲ということで『穏やかな曲なのかな?』と思われがちですが、けっこう激しいピアノ作品です。
庭先に降りだしたパタパタと踊るような雨粒たちは、軽快な音の粒で表現されています。
降りだした雨は強くなったり弱くなったり、そんな刻一刻と変わっていく空模様も、音楽の暗い部分と明るい部分をおりまぜた技法を使って見事に再現しました。
大雨で聴いていても、この曲なら負けませんよね!(笑)
版画「塔」(ドビュッシー)
島国の多い東洋ならではの、湿った空気感を漂わせる美しい曲です。
曲にはバリ島の民族音楽「ガムラン」や、中国の音楽を思い起こさせるような不思議な音の並びを使っています。
アジサイでも眺めながらゆったりと聴きたい曲です。
前奏曲「亜麻色の髪の乙女」(ドビュッシー)
前奏曲集の第1巻に収められている8番目の曲です。
この曲は「亜麻色の髪の乙女」という詩からインスピレーションを得て作曲されました。
全体的に切ないのは、叶わない恋を思って書いたものだからでしょう。
詩の内容は『花畑で歌う美しい君。おさげ髪が可愛い君。つれない態度をとる君。ずっと眺めていたいよ。バラ色の唇にキスしたい。』といった感じです。
雨が上がったときにぼんやりと聴きたい名曲です。
前奏曲「沈める寺」(ドビュッシー)
前奏曲集の第1巻に収められている10番目の曲です。
伝説で言い伝えられている「海に沈んだ街の大聖堂」をイメージして作られました。(なので日本のお寺とは違います!)
『昔々、あるところに…』と続きそうな始まりですね。
海に沈んでいた巨大都市が細かな泡と共に姿を表す部分では、音を壮大に盛り上げて神々しさを出しています。
ふたたび幻のように消えていく様子や、深い水の底に沈んでしまった大聖堂は小さい音で表現され、祈りの歌や鐘の音もかすかに響いているようです。
神聖な感じがしますが途中で音量が急に大きくなるので、雨の日の目覚ましに使いたいな…。(笑)
ため息(リスト)
全部で3曲ある「3つの演奏会用練習曲」という曲集の3曲目です。
「ため息」というタイトルは後付ですが、リストらしい情熱的な愛による、心の葛藤や甘美な苦しみを感じることが出来るのではないでしょうか?
この時期、雨が降るとため息もつきたくなりますよね。
そんなときには、この曲を聴きましょう!
慰め(リスト)
原題はフランス語でConsolations, Six Penseés poétiques、日本語に訳すと「慰め、6つの詩的思考」となります。
今回は特に有名な第3番を抜粋しました。
超絶技巧を得意としていたリストにしては控えめな表現が多く、その儚く美しい旋律は「慰め」というより『慈悲深い愛情』という風に感じとることもできます。
曲集は小作品が6曲なので、全部聴いても20分ほどです。
雨の日にBGMとしてかけると良いのではないでしょうか?
ジョスランの子守唄(ゴダール)
フランスの作曲家ゴダールの作品「Berceuse de Jocelyn」です。
子守唄と言うだけあって、ゆっくりした曲調ですがメロディがとても切ないです。
ときどき踊るようなリズムが出てくることで、無理して明るく振舞っているような悲しみが滲み出ているような気がします。
それもそのはず、この曲は子どものために歌われるものではなくて、大人が1人寂しく自分の境遇をなぐさめるために歌う曲だからです。
もとはオペラ「ジョスラン」で使われたアリアという種類の歌の1つでしたが、今ではオペラとして全曲が演奏されることは無く、この曲だけが好んで演奏されます。
ピアノ版に編曲されたものや、歌の代わりにフルートやチェロがメロディを演奏するものが多いです。
雨の日の感傷に浸るときに聴きたいなぁ…。
雨の日ってロマンティックだよね。
外出しているときの雨はあまり得意ではありませんが、雨の日の雰囲気は好きです。
太陽が昇っているような時間でも雲が立ちこめていると薄暗いから、雨の日って何もかもがロマンティックに見えてくるんだよなぁ…。
光を反射してキラキラ輝く雨のしずく、シトシトと降る雨の音、アスファルトに落ちたときの独特な香り、色とりどりのゆれる傘、『雨が上がったあとに虹が出るかな…』なんて考えながら街を歩くと、特別な日を過ごしているようなワクワク感さえ出てきます。
そんなときに大好きな音楽を聴いていると、まるで物語の主人公になったような不思議な気分になるのでした。
音楽科の学科は、どんな種類があるの?
ようこそ!ブーです。
今日は、音楽科のある学校を選ぶときに重要な学科の種類を紹介します。
学科やコースの種類は学校によって様々にあり、実は名前が統一されていません。
なので、学科の名前が違っても習う内容は同じだったり、逆に学科の名前は同じなのに習う内容が違うということもあるので、学校を選ぶときにはその点をよく調べると良いと思います。
音楽科
大きく分けると、音楽を総合的に学ぶ学科や学部のことです。
総合的な音楽学科から細かく分かれた種類や分け方は、専攻・分野・コースなどと呼ばれ、自分が専門的に習うものを指します。
最近では、ジャズ・ポピュラー・ロックなどのジャンルを扱っている学校もあるので、よりグローバルになりました。
音楽科では、こんな授業が受けられます。↓
声楽科
歌を専門的に学ぶ学科です。
レッスンでは、歌曲・オペラ・宗教曲などのクラシック音楽を中心に学びますが、一部の大学ではポピュラー音楽を習えるところもあるようです。
歌うだけではなく曲の内容や言葉の意味なども研究しながら、より良い演奏ができるように教えてもらえます。
器楽科
学校によっては様々なジャンルから選ぶことができます。
種類は、ピアノ・オルガン(or電子キーボード)・管弦打楽器・古い時代の西洋楽器(古楽器)などです。
演奏だけでなく曲の内容などもしっかり研究しながら、より良い演奏ができるように教えてもらえます。
邦楽科(伝統芸能)
日本の伝統芸能である能楽(狂言)・日本舞踊などを舞ったり演じる分野と、
日本の伝統的な楽器である、三味線音楽(長唄、常磐津、清元)・邦楽囃子・箏曲・尺八・能楽囃子・雅楽を演奏する分野に分かれます。
伝統的で大変希少な学科です。
その技術を継承する人がいなければ、あなたが後継者になれることがあるかも!?
作曲科(創作学科)
作曲に必要な技術・楽譜の書き方や音を並べる上での法則など、基礎の部分を身につけられる学科です。
個人の作曲スタイルや個性があるので、作曲そのものは教えてもらえません。
ですが創作するにあたって、音楽科に所属している生徒達や音楽の専門的な授業から得られること・学べるものは沢山あるので、学校に所属していた方がためになります。
指揮科
将来プロの指揮者として、オーケストラ音楽・オペラ・バレエ・オラトリオなど幅広いジャンルの音楽を指揮できるように学ぶ学科です。
楽曲・楽書の研究や、指揮者になるための様々な知識を学び、実技レッスンではオーケストラを指揮したり、実際にお客さんの前に立つことも経験させてもらえます。
楽理科
音楽の勉強的な部分を重点的に学べる学科なので、音楽学専攻や理論分野とも呼ばれます。
音楽の歴史がわかる西洋音楽史・日本音楽史・東洋音楽史、音楽が美的な芸術としてどのような役割を持つのかわかる音楽美学、音楽がどのような理論と構成で成り立っているかがわかる音楽理論、音楽が民族や宗教とどのような関わりがあるかわかる音楽民族学・宗教音楽などが主な内容です。
演奏学科
演奏家になるための演奏技術を身につけることが出来る学科です。
声楽科や器楽科にも似ていますがソロだけではなく、他者とのセッションやアンサンブルなども経験できます。
アーティストとして「お客さんに見せる・魅せる演奏」を目標に、より専門的な演奏技術を磨きましょう。
学科以外(その他)
音楽教育
音楽の教育に関わるもので、教育職員免許状を取得することができます。
音楽療法士
医療や福祉の場面でケアをするために必要となる、音楽療法士の資格を取ることができます。
電子音楽・音楽デザイン
コンピューターを使った楽譜・楽曲作りやミュージックビデオなどを作成する、時代にあったクリエイティブな音楽を学べます。
舞台音楽・舞台芸術・音響
舞台や映画・ドラマなどの舞台音楽や音響について学ぶ分野や、バレエやダンス・オペラやミュージカルなどの舞台に立つための技術を学ぶ分野に分かれてます。
音楽ビジネス
音楽プロデュース・マネジメント・権利ビジネスの仕組みや、セルフマネジメント力・プロモーション力・プロデュース力を学び、音楽を社会的に運営していくスキルなどを身につけることができます。
調律・リペア・クラフト
楽器の音を整える調律師や、楽器の修理を行なうリペア職人、楽器を作るクラフト職人など、音楽に欠かせない職人になるための専門学校があります。
ちなみに…
ブーが所属していた学科は、高校→音楽科ピアノ専攻、短大→音楽理論科でした。
プロになれるほどのピアノの腕前がないことは高校時代に嫌というほど味わったのですが、それでも音楽の勉強を続けたいと思ったときに音楽理論と言う、「音楽そのものの構造を知るためには1番良い学科」を発見できたことは奇跡だと思います。
私が通っていた学校は『上は北海道から、下は沖縄まで!』と様々な生徒がいたので、1人暮らしをするほど遠くない位置に学校があったことも、今思うとラッキーだったなぁ…。
今回の記事をまとめると、音楽科にも色々な種類があるので『どうせプロにはなれないし…』と諦めている人にも他の選択肢が待っているよ!ということでした。
「ウォーター・ゴング」という演奏方法。
ようこそ!ブーです。
今日は、ゴングや銅鑼の演奏方法の1つである「ウォーター・ゴング」を紹介します。
ゴングや銅鑼ってどんな楽器?
ゴングと銅鑼は、金属で作られた円盤のような形をした打楽器で、バチを使って叩いて演奏します。
スタンダードなものでは、こんな音が鳴ります。音量注意!↓
厳密に言うとゴングと銅鑼は違う楽器です。
材料・演奏法・音などがとても似ているので、音楽家によっては混同している場合があり、楽譜にはひと括りに「Gong ゴング」と書いてあることが多いです。
そのため。一体どちらを使ったら良いのか判らなくなりますが、そんな時には楽器の特性を知っておくと区別するのに便利です。
楽譜に音程(音の高さ)の指定がある場合には、大きさや形によって「ドレミファソラシド」という風に音程がキッチリ決まっているゴングを必要な数セットにして使います。
一応、銅鑼も大きさによって音の高さは変わりますが、きちんとした音程の変化に対応するようには作られていないので、無理して使う必要はないというわけです。
逆に楽譜には「高い・低い」と書いてあるだけで細かな音程の指定がない場合には、音の響きが一定で深く、華やかな印象の銅鑼を使います。
Gongゴング
ゴングはベトナムやインドネシアなどの東南アジアが発祥といわれている楽器です。
吊り下げ式のものや、横並びに紐で張るものがあります。
大きさや、叩く面にある中央部分の突起によって音程が分かれていることが特徴で、演奏の時には複数個を1セットとして使うことが一般的です。
鉢のような形をした物が主なので、ベトナム語で鉢を意味するchau-gongチャウ(チョウ)・ゴングとも呼ばれます。
英語のGongは、このゴングを指す場合もありますが、「銅鑼」や「お皿の形をした鐘」といった風に混同して使われる事が多いです。
銅鑼ドラ
銅鑼は中国が発祥の楽器なので、Chinese-gongチャイニーズ・ゴングとも呼ばれます。
ですが、厳密にはゴングではないのでTamtamタムタムと呼ぶのが一般的です。
フリスビーのような形をしていてゴングよりも平べったいものが多く、シンプルな作りをしていて、専用のスタンド(枠組み)に吊るして叩いて音を鳴らします。
銅鑼は中国が発祥の楽器ですが、近代的・前衛的な作曲家の多くは、オリエンタルでエキゾチックな魅力がある銅鑼を曲の特徴的な効果音として使いたがりました。
ゴングと銅鑼の特徴
ゴングや銅鑼を数えるときの呼び方は、枚、個、台、セットでも良いですが、枠組みに吊り下げて演奏されることが多いので、本来は「挺=ちょう」or「丁=ちょう」と呼びます。
楽器単体=1挺では音の高さを変えることはできませんが、楽器の大きさによって音の高さが変わる特性があるので、必要な音の数を1セットとして使う場合があります。
(ドレミという3音が必要な場合、1セットは3挺になる)
音の高さに合わせて、大きさは15~100cm越えのものまで色々な種類があるので、単体で使う場合でも、曲の雰囲気にあった音の高さのものを選んで使うことができます。
楽器の素材は青銅・真鍮・鉄などが混ぜ合わせて作られ、演奏するために使うバチは太鼓を叩く物のように様々な素材のものを使うことができます。
バチの種類を変えることによって音色に変化を持たせることが出来るので、音楽を彩るための重要な役割を与える事ができます。
バチ以外にもハンマーで叩く事があり、その場合には音を和らげるためにタオルなどを当ててその上から叩きます。
ウォーター・ゴングという演奏方法
「Water Gongウォーター・ゴング」は、音色を変化させるためにゴングや銅鑼を水に浸けて行なわれる演奏方法です。
ゴングと名前に付きますが、ウォーター・ゴングで使われている楽器のほとんどは銅鑼です。
この動画ではきちんとゴングが使われています。聴いてみてね。↓
本当に独特な音ですよね。
ゴングを水に浸けることによって、音が低くなり、くぐもっているように聴こえたと思います。
上下の動きを連続させることによって、『ボワンボワン』としたドップラー効果のような不思議な響きも感じたのではないでしょうか?
得体が知れない感じがするので、私はこの音が少し怖いです。(笑)
ウォーターゴングの生みの親
「ウォータ・ゴング」という演奏方法を使い始めたのは、「4'33"」という曲でお馴染みの
この記事の最後の方でも紹介した、あのジョン・ケージです。↓
水を使うって大変!
音楽で水を使うには、それ相応のリスクや手間がかかります。
まず、水に浸けることで楽器が傷むので木製で作られた楽器は使えません。
そして、練習するときや舞台上に水を準備することはとても大変です。
段差が多いところで運んでいるときや、もし演奏中に引っかかって零したら…と考えると気が滅入りそうだ。(汗)
ウォーターゴングでは、キャリーストッカー(コロ付きの衣装ケース)を使うことができるので、運ぶ事に関しては若干ストレスが軽減できると思います。
音を聴いたり、演奏の様子を見たりする人は楽しめますが、準備する側となると『相当面倒くさいだろうなぁ…』と思うので、もし観る機会があれば真剣に見ようと思ったのでした。
自分の曲にキレるシューベルト。
ようこそ!ブーです。
今日は、作曲家シューベルトの意外な一面をご紹介します。
彼の代表曲の1つ『ます』という歌曲です。聴きながら読んでね。↓
シューベルト
Franz Peter Schubert(フランツ・ペーター・シューベルト、1797年1月31日-1828年11月19日)は、オーストリア出身の作曲家です。
クラシック音楽のジャンルで考えると、シューベルトが生きた時期はその大半が「古典派」の時代になりますが、なぜか「ロマン派」の音楽家に分類されます。
それは、曲に物語的な要素を取り入れたり、その物語的な曲の流れを重視した通策歌曲形式という、昔からある歌の形式に囚われない流れるような曲作りを始めたのがシューベルトで「ロマン派の先駆け」と言われているからです。
歌曲・ピアノ曲・交響曲などで名曲を残しましたが、特にドイツ歌曲(ドイツリート)で 「魔王」、「野ばら」、「ます」、「樂に寄す(音楽に寄せて)」などの有名な曲を残し、定評もある事から「歌曲の王」と呼ばれています。
シューベルトが活躍していた時代は、歌曲といえばイタリア語、教会音楽といえばラテン語の歌詞で書かれた曲が主流でしたが、彼はオーストリアの公用語であるドイツ語で曲を書くという珍しいタイプの作曲家でした。
実は短命で知られているモーツァルト(35歳没)よりも、更に短命な31歳という若さで亡くなっているのが、このシューベルトという人物です。
シューベルトの印象
学校の音楽室の多くには、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンと並んで、シューベルトの肖像画が置いてあると思いますが、それを見てどのような印象を持つでしょうか?
私が彼の肖像画を見る限り、色白もち肌(?)でメガネをかけていて、なんだか大人しそう…、首もとはオシャレにスカーフを巻いていて清潔感もあるし、まぁまぁ上品そうなオジさんといった印象があります。
(肖像画のシューベルトは亡くなった年齢よりも若い31歳未満のハズなので、オジさんと言うのは失礼かもしれないですね。笑)
音楽家としては、名曲を生み出す天才といったイメージを持ちますが、「野ばら」や「ます」のように自然の豊かさを感じるようなテーマを使った曲を書いている一方で、「魔王」や「死と乙女」のように死をテーマにした心の闇が深そうな曲も残しています。
曲は、作曲家の内面を表していることが多いので、こう考えると性格も「明」・「暗」といった2面性がありそうです。
自分の曲にキレるシューベルト。
普段は見た目通り、とても内向的で大人しいシューベルトですが、親しい友人たちの間では「キレる」ことで有名でした。
時々ドカーンッ!!と癇癪を起こすことがあったそうです。
その逸話の1つに「シューベルトは自分が作曲した曲が難しすぎて、演奏できずに怒り出した」というものがあります。
彼が25歳のときに作曲した「さすらいびと幻想曲」という4曲編成・演奏時間が20分ほどのピアノ曲が原因です。
「さすらいびと幻想曲」の最高潮に難しい4曲目です。聴きながら読んでね。↓
ある日シューベルトは、高度な技術を余すことなく使った傑作が完成したので『お~い!スゴイのが出来たぞ~!』といった感じで興奮気味に友人達を呼び、その流れで自分が演奏して「さすらいびと幻想曲」を聴かせることにしました。
演奏を始めたシューベルトですが、序盤から雲行きが怪しくミスタッチを連発…。
そして、一番盛り上がるクライマックス部分ではアルペジオという分散した怒涛の音の波が押し寄せてくるのです。
結局、難しすぎてシューベルトは演奏を止めてしまいました。
この曲は、1楽章と3・4楽章は和音の華やかで軽やかな響きがありますが、2楽章は悲壮感漂う繊細さがあります。
音楽的には、その差によって曲全体にメリハリが出るのでとても良いことなのですが、今回はその緩急が逆にミスを誘う結果となってしまったのです。
もし大作曲家やプロの演奏家が自分の目の前で演奏してくれているときに、そんな事になったら一体どんな気分になるでしょう。
きっと『見てはいけない物を見てしまった』感が出てしまいますよね?
シューベルトはそんな恥ずかしさや自分への怒りから、ピアノをドーン!と叩くと急に立ち上がり「Der Teufel soll dieses Zeug spielen!こんなものは、悪魔にでも弾かせてしまえ!」といって、その楽譜をビリビリと破り捨ててしまいました。
でも、破られた楽譜が原本じゃなくて本当に良かった~。
もし破かれたのが1つしかない原本だったとしたら、永遠に「さすらいびと幻想曲」が聴けなくなるところでしたからね。(汗)
大人しそうに見えても、芸術家が奥底に秘めている性質っていうものは、原始的な欲求で動いているのかもしれないなと思いました。