「ヤバイ!蛇だぁ~!」いいえ、セルパンという楽器です。
ようこそ!ブーです。
今日は蛇のように、ニョロニョロした見た目の楽器セルパンを紹介します。
初めて見たらビックリしちゃう楽器
普段、ヴァイオリン・フルート・トランペット・太鼓・ピアノなどの楽器を見たときに驚いたりはしませんよね?
でもセルパンを見たら、きっと驚いて「えっ!なにこれ!?」と言ってしまうと思います。
誰もいなくて楽器だけ置いてあったら本当にビックリします。
ブーは実際、初めて見たときに「うわっ!何じゃこりゃ!?」って引き気味に言ってしまいました。(笑)
だって、大きめの蛇みたいなんだもん!
蛇みたいなセルパンは、どんな楽器?
セルパン(Serpent)はフランス語です。
同じ綴りでも英語では読み方が違いサーペントとなります。
どちらも「蛇」という意味です。
形が蛇みたいだからという単純な理由で名前が付けられたんですね~。
本体は木で作られているのに、金管楽器に分類されます。
それは、音を出す部分が金属で出来たマウスピースだからです。
金管と木管の良いとこどりだから、人の声に近いような温かさと丸みのある優しい音がします。
良く響くところで演奏したら音と音のつなぎ目が消えて、まろやかな空気の流れのように感じるんでしょうね。
音の高さは、一般的な金管楽器に付いているバルブ式(ボタン)ではなくて、木管楽器やリコーダーのように音孔(指穴、トーンホール)と呼ばれる穴で調節します。
改良されたものでは、演奏がしやすいようにキーを付けたものもあるんですよ。
セルパンには2種類の形がありますが、現在使われているのはそのうち1種類だけです。
現在使われているのは、軍隊で使われていたタイプのもの(セルパン・ミリテールSerpent militaire)で、持ち運びに便利な形をしています。
扱いやすいようにクネクネと曲がっているので、普通の楽器と違ってマウスピースの角度を変えれば、縦でも横でも演奏することが出来る構造です。
もう1種類は、教会で使われていた縦長くて曲がり具合がゆるいタイプ(セルパン・デグリーズSerpent d'église)で、グレゴリオ聖歌など古い時代の教会で歌われていた宗教音楽・ミサ曲の合いの手や、歌声では補えない低音部を補強するために使われていました。
今では博物館などでしか見ることは出来ません。
低い音域をカバーするために用いられていましたが、奏者によっては高音も出す事ができます。
絶滅危惧種…
文献によると、16世紀後半のフランスではすでに存在していたそうで、かなり古い楽器です。
セルパンが使われている曲で有名なものは、メンデルスゾーンの交響曲「第5番」ですが、この曲ですらチューバやユーフォニアムが代わりに使われる事があるくらい希少な楽器となってしまいました。
さらに19世紀半ば以降からは楽曲にも使われず、古楽器の1つとして扱われるようになったため、今ではほとんど見る事がなくなったんです。
そんな廃れてしまったセルパンですが、そのユーモラスな見た目と古楽器というプレミア感、その自然で豊かな音色から、注目が集まる楽器となりつつあり、現在は昔使われていた楽器のレプリカが作られ使われています。
実は、すごく少ないですが日本にもセルパン奏者の人がいて、だいたいチューバ奏者との兼任で活動しているんですよ。
ジョークの質が高いな!
セルパンの大きさは4種類あって、他の楽器と同様に形は同じでも「小さいものは高い音、大きいものは低い音」が出ます。
冗談のような話ですが、普通のセルパンよりかなり大きめな、アナコンダ(anaconda)という名前を持った楽器が製作されています。
大きさもネーミングも、本当にジョークとしか思えないけど、楽器製作って大変だから作った人はスゴイんだよ。