音楽科の進路。【過酷な現実】
ようこそ!ブーです。
今日は、音楽科の進路について書きます。
今までは音楽の楽しさや素晴らしさを紹介してきましたが、音楽を学問として本気で習ったあとの将来について考えると、「好き」とか「楽しい」だけではやっていけません。
音楽という夢だけを追いかけ続けた自分が言うのもアレですが、今から将来が広がっていく若者たちには大好きな音楽での後悔をしてほしくないんです。
なので、思い切って書くことにしました。
これから下に書いてあることは、進路(自分の将来)を考える上ではとても大事なことですが、音楽科への進学を考えている人からしたら、聞きたくないような厳しいことが書かれているかもしれません。
もしかしたら、受験をやめたい諦めたいと思ってしまうほどの内容かもしれないので、心の準備をしてから読んでくださいね!
【過酷な現実】
プロの音楽家にはなれない
進路を考えるときに知っておかなければいけないことがあります。
それは、音楽科のある学校に通って、きっちり卒業したとしても『必ずプロの音楽家になれるわけではない』ということです。
プロの音楽家は、《作曲・演奏又は演奏の指揮に従事する人で、作曲家・編曲家・コンサートマスター(首席奏者)・声楽家・オペラ歌手・バイオリニスト・ピアニスト・筝演奏家・雅楽楽手・歌手・楽士・能楽はやし(囃子)方・長うた(唄)はやし方・音楽指揮者・浄瑠璃師》などの仕事についていて、報酬をもらっている人のこと。
音楽評論家や、学校の教員、音楽教室の個人教師などは音楽家に当てはまりません。
上に挙げたような種類の、音楽家として働いている人も確かにいますが、とても少ないのです。
総務省統計局の調査によると、2018年6月20日(7月16日時点で最新)に公表されている日本の人口は約1.26億人で、
一番近い年に行なわれた平成27年の国勢調査によると、職業分類したときの15歳以上の就業者数は約5889万人、日本に居住している音楽家(クラシックの音楽家以外を含む)の人数は約2.3万人という結果でした。
出典「平成27年国政調査結果」(総務省統計局)
それを踏まえて、音楽家の割合を計算すると…
人口での割合は
(23.000÷126.000.000)×100%
=約0.018%
就業者としての割合は
(23.000÷55.890.000)×100%
=約0.041%
どちらも、プロの音楽家は0.1%にも満たないという結果になりました。
この割合だけでも充分に少ないですが、ここから自分のやりたい分野、作曲・演奏・指揮といったように細かく分けていくと、もっと少なくなります。
そして、これは現在の音楽家(15歳より上の全就業者)の割合なので、これから音楽家になる人を年齢別に分けて自分の年齢に当てはめれば、その割合はもっともっと減ってしまうんです。
このことからプロの音楽家は、本当に限られた人にしかなれない職業なんだ、ということがわかったと思います。
待っているのは挫折
『プロになれなくても、他の音楽関係の仕事を探せればかまわない。』という人も居ると思います。
確かに0.1%にも満たないプロの音楽家よりも、音楽教員や講師・調律師・療法士・音響さん・楽器屋さん・楽譜屋さんなど、他の音楽関係の仕事をしている人数の方がはるかに多いです。
ですが、これらも決して簡単になれるものではない事を知っておきましょう。
音楽が関係している仕事は選ばなければ数多くありますが、資格や特別な能力・知識を持っていないとやっていくのが厳しいことが多いのです。
そのために音楽科を持った学校が存在しているわけですが、音楽関係の仕事を目指して自分の行きたい音楽科の分野や専攻に入れたからといっても安心はできません。
なぜなら、行きたい分野や専攻、目指していた仕事が、あなたに合っていないかもしれないからです。
私の場合、ピアノを長年やっていたので『学校に行くならピアノ科だ!』と意気込んで高校はピアノ科に入学しましたが、在学中に才能が無いことに気が付き、大きく挫折しました。
ピアノ以外に何の取り得もなかった私は、今までしてきたことが全て水の泡になってしまった気がして、地獄に落とされたような気持ちを味わったんです。
挫折しても好きなことだったので3年間どうにか通いましたが、『卒業したその先』を考えると、楽しい学生生活の裏には常に不安が付きまとうことになります。
私がその不安に押しつぶされることはありませんでしたが、周りにいる人のなかには、その不安に負けてしまった人もいるんです。
- 挫折して引きこもってしまった同級生達は留年し後輩になり、休学や退学しました。
- 自分の音楽のあるべき場所がわからなくなり、留年に留年を重ねた元先輩方は同級生から後輩になり、結局学校を去っていきました。
- 卒業をしてもすることが無いからと、自分に合っていないのに惰性で専攻科(大学院的なもの)へ進学しようとした友達は、進学試験に落ちてうつ病になりました。
こんな思いをしなくても専攻の変更ができる学校や、試験を受けて他の分野に編入という手もあります。
ですが、それでも最低1年は棒に振ってしまうので、そのまま見切りをつけて音楽自体を辞めてしまう人が多いです。
やっぱり音楽に携わっていたい!
このように音楽科に入っても厳しいことが多いので、そこで音楽を諦めて逆に将来を見据えた「音楽とは全然関係のない学校」に行ってしまう人がいます。
ですがこの人が、後になって『音楽関係の仕事に就きたい』と思っても、音楽科の無い学校では音楽に関係する就職先にツテがなかったり、先輩方の実績も無いので探すことがとても難しいんです。
もし音楽科のある学校に行っていたら、卒業生達が積み重ねてきた実績と、彼らのおかげで蓄えられた音楽の仕事に関する情報の量は豊富にあります。
就職先を探すときには有利になる事が多いので、できないからと言って音楽自体を諦めるのではなく、自分が音楽で出来ることを良く考えて探し、音楽に携わっていられるようにしておきましょう。
諦めないで!1人で悩むより相談しよう。
進路を考えるのは初めてで、わからないことがたくさんありますよね。
上に書いたような過酷な状況になると考えると不安になり、誰かに相談したいと思うのが普通です。
ですが回りにいる親しい友人や大人達は、音楽の知識はあっても学校のことになると解らないので相談できないといった状況になるでしょう。
そんな、誰にも相談できずに悩んでいる人がいたら、まずは自分の通っている学校の音楽の先生や、個人的にレッスンを受けている先生に相談したり、気になることを聞いてみるのが良いと思います。
音楽に関係のある仕事をしているということは、同じような道を歩いてきた大先輩と言うことですからね!
グダグダ悩むより、ドンドン相談しよう!