音楽用語「オクターヴ」記号について。
ようこそ!ブーです。
今日は、音楽用語の「オクターヴ」記号について説明します。
Octave オクターヴとは?
オクターヴは8個分離れた音の距離の単位です。
(鉛筆が12本で1ダースだったり、タバコが10箱で1カートンなのと同じ)
簡単な例で言うと「ドレミファソラシド」という8つの音の「ドからドまでの距離」になります。
日本語でオクターヴは「8度音程、第8音、8番目の音」と言います。
書き方は「オクターヴ」でも「オクターブ」でも大丈夫です。
オクターヴ記号
オクターヴ記号は「8個分の音の距離を基準にして音の高さを変える」という特性があり、高くするものと、低くするものの2種類があります。
楽譜を書く時は、読みやすいように5線を基準にして書かれますが、音楽の性質や作曲者の意図で音符の高さは5線に関係なく縦横無尽に移動してしまうことがあるんです。
そのせいで、音符の高さを表す線がイッパイになってしまったら楽譜が読みにくいですよね?
こんな風になると、演奏スピードと楽譜に目が追いつく(理解する)スピードに差が出て、スラスラと演奏することが難しくなり困ります。
そのため、見やすさの面を考慮して音の高さが極端に変わるときにはこのオクターヴ記号が書かれるというワケです。
オクターヴ記号の数字
オクターヴ記号に書かれる数字は「音の距離」を表すものです。
では、この記号が書かれたときの数字はいくつになるのでしょうか?
ノーマルのオクターヴの場合は、もちろん8音分の距離なので8です。
なので、音の高さを倍(2オクターヴ)に変える場合、計算上では8の倍「8×2=16」となるはずですよね?
ですが、実際の音として考えると8番目の音が被ってしまうので、その分は「- マイナス」にしなければいけません。
なので、実質の2オクターヴは「8×2-1=15」となります。
ドレミファソラシ【ド】レミファソラシド=15個
この場合は8番目のドの音が被っています。
過去には8の倍数である「16」の数字の方が見やすいという理由から、楽譜を書く際に使用していた音楽家もいましたが、現代では正確な数の「15」の方を使う人が多いです。
3倍(3オクターヴ)の場合も同じ要領になるので被る音が、8番目と15番目の音の2音に増えるので、「8×3=24」の計算ではなく「8×3-2=22」という風になります。
4オクターヴでは、8番目と15番目そして22番目の音の3音が被るので「8×4-3=29」…といった風に、オクターヴの数が増える分だけ被る音が1音づつ増えていきます。
音を高くするオクターヴ記号
音を高くする場合は「8va alta」というオクターブ記号が1番よく使われます。
8va は本来 ottava オッターヴァと書き「8番目の、8度音程の、1オクターヴ」という意味があり、そこにaltoの女性名詞であるaltaアルタという「高い」を意味するイタリア語を合わせることで「1オクターヴ高く」という意味の記号になります。
8va alta は略して「8va」や「8」と書かれ、いずれも楽譜で使われるときには音符の上側に書かれます。
倍の2オクターヴ高くする場合には「15ma alta・15ma」、「16ma alta・16ma」という記号が使われます。
15maはquindicesimaの略で「15番目、15度音程、第15、2オクターヴ」、16maはsedicesimaの略で「16番目の、第16」という意味があるそうです。
記号以外にも、ottava sopra オッターヴァ・ソープラという文を使って、元ある音符の位置よりオクターヴ高く演奏することを指示できます。
音を低くするオクターヴ記号
音を低くする記号は「8va bassa」というオクターブ記号が1番よく使われます。
bassa バッサは「低い」という意味のイタリア語で、8vaと合わせると「1オクターヴ低く」という意味になり、略して「8vb」や「8」と書かれ、いずれも楽譜に使われるときに音符の下側に書くルールがあります。
倍の2オクターヴ低くする場合には「15ma bassa・15ma b」、「16ma bassa・16ma b」という記号が使われます。
記号以外にも、ottava sotto オッターバ・ソットという文を使って、元ある音符の位置よりオクターヴ低く演奏することを指示できます。
オクターヴ記号の書き方・見分け方
1つの音を変更するために使うときには、点線を書かずにその真上や真下に記号を書き、1つのフレーズや小節単位など大きな区間の音の高さを変えたいときには、点線でその範囲を鍵カッコの形で囲みます。
オクターヴ記号を文字として書くと「alta」や「bassa」という高低の言葉が入るのでわかりやすいですが、略して書く場合はどちらも同じ記号に見えてしまいます。
そんな時には楽譜の上下で書き分けられているので見分けることができます。
楽譜に書いたときに「高い音になるときには上、低い音になるときには下」という風に覚えておくと良いでしょう。
他の活用
普通のオクターヴ記号の他に、coll' 8 va コル・オッターヴァという記号があります。
coll' は con + 定冠詞の形で「~と共に」という意味で、coll' 8 va を訳すと「オクターヴと共に」という風になります。
「共に」という言葉の意味は、unison ユニゾンという「高さの違う同じ音を2音同時に演奏する演奏法」のことです。
単に「unison」という書かれ方の時もあります。
音符は1つしか書かれていませんが、coll' 8 va が書かれているときには、2音弾かなければいけません。
この記号も上下に書き分けることによって、音符が上に付くのか・下に付くのかを見分ける事ができます。
終わり方
普通の楽譜でオクターヴ記号を終わらせる場合は、点線を鍵カッコの要領で閉じます。
ですが現代音楽のように複雑な楽譜もあり、オクターヴの終わり部分(音符の書いてある位置を元に戻すこと)が判りにくくなっているんです。
そういったときには判り易いように、音の高さを元に戻す意味がある「al loco アル・ロ-コ」「loco ロ-コ」「suo loco スオ・ロ-コ」という言葉が書き添えられます。
記号としては「loco」を使いますが、略して「lo.」や「loc.」と書く時もあります。
coll' 8 va を戻す場合は「coll'」、unison の場合は「unison」と書いて、普通のオクターヴ記号の終わりとは区別がつくようになっています。
読み方
オクターヴ自体が「8番目」を意味する言葉なので、記号を読むときには『オクターヴ上』『オクターヴ下』と呼んでも通じます。
ですが、より解りやすくするために『1オクターヴ上=いちおくたーぶうえ』『2オクターヴ下=におくたーぶした』という風に数字を付けて呼んだ方が、何音上下するのかが解りやすいですよ。