「猫のための音楽」は本当に猫のためのものでした。
ようこそ!ブーです。
先日、テレビを見ていて面白い音楽の存在を知ったので紹介しようと思います。
その名はなんと「猫のための音楽~Music for Cats」!!
名前の通り、猫のために作られた音楽なんです。
今まで、猫や犬の声で作られている音楽は聴いたことがありましたが、まさか『猫のため』に作られた曲があるなんて!と驚きとともに興奮を感じました。
「猫のための音楽~Music for Cats」収録曲
1. ロロの空間 - Lolo's Air
このCDアルバムの中で唯一、猫と人間の両方に向けて制作された楽曲です。
なので和訳の題名を『ロロと過ごす空間』と付けても良かったのでは無いかと思います。
2. ケイティ・モスのキャットウォーク - Katey Moss Catwalk
イギリスのモデル“ケイト・モス”を想像してしまいます。(笑)
3. タイガーリリとミミのミャウジカル - Tigerlili And Mimi's Mewsical
「ミュージカル」が「ミャウジカル」に!良い発想です。
4. スクーター・ベレのアリア - Scooter Bere's Aria
オペラで使われるようなアリアのように、感情的でドラマティックな仕上がりの曲です。
5. サイモン・セッズ - Simon Says
サイモンセッズは、英語圏の人によく知られている子供の遊びなんだそうですが、曲のタイトルが同じ意味なのかは定かではありません。
曲を聴いた感想
個人的な意見ですが、猫が心地良い音と感じるであろう部分は雑音のように聴こえるので少し耳障りだったり、音の種類に馴染みがなくて音楽としてしっかり聴いていると脳が混乱して疲れたり、違和感を感じるところが多々ありました。
音楽的にはゆったりとしているので、小さな音でBGMとして流すのなら気にならないと思います。(猫は人間に対して10倍の聴覚を持っているので、小さい音量で聴く方が丁度良いのかも!)
猫のために作られている音楽ですから、人間が聴いてこういう風な感想を持つのは、当然といえば当然の結果ですよね。(笑)
制作に携わった人
作曲者 David Teie
作曲者はDavid Teie(デヴィッド・タイまたはデヴィッド・テイー)という、アメリカ在住の音楽家です。
1984年から20年以上もの間、ワシントン・ナショナル交響楽団でチェロ奏者(チェリスト)を勤めました。
1999年から2000年にはサンフランシスコ交響楽団の首席チェロ奏者として活躍し、アメリカ合衆国のメタルバンドとして世界的に最も成功を収めたとして知られているメタリカ (Metallica) がサンフランシスコ交響楽団と共演したライヴでも演奏しているスゴイ人物です。
その他にも、世界のトップアーティストを指揮したり、楽曲提供や大学の教員を務めるなど、充実した音楽家生活を送っています。
彼が「ある種の動物のみに向けた音楽」の研究を始めたのは、2009年からです。
きっかけは『音楽が感情にどのような影響をもたらすのか?』ということについて、探究心が芽生えたからでした。
そのため、心理学者・霊長類の研究者であるCharles Snowden(チャールズ・スノーデン)に連絡を取り、彼の協力を得て、中南米の熱帯雨林に生息するタマリンという種類の猿を対象とした実験を行うことに…。
タマリンを研究対象にした理由は、複雑で頻繁な発声によってコミュニケーションを取る動物だったからです。
3週間ほどかけてタマリンの鳴き声や、彼らの出す音を録音し、それを研究して2つの音楽を書き上げました。
1つ目は、音楽のリズムをタマリンの安静時の心拍数に合わせ、音もリラックスしているときの鳴き声に寄せた、精神を落ち着かせるための曲。
2つ目は、タマリンが興奮したときに立てる音や、危険を知らせるときの鳴き声をもとにした、動揺を感じさせる曲でした。
実際に、1つ目の曲ではタマリンはリラックスした状態、2つ目の曲でタマリンは落ち着かない様子を見せたそうです。
この実験により、動物がその種別に『聴覚や音楽の好みが違う』ということを発見することができました。
そして彼を一躍有名にさせたのが、この経験を踏まえて、その後に発表した「猫のための音楽」です。
デヴィッド・タイ氏は、現在でも動物のための音楽の研究をいろいろ進めていて、犬やクジラ、馬などのために実験や観察を行なっています。
協力者 Jagmeet Kanwal
この「猫のための音楽~Music for Cats」に携わったもう1人の人物は、インド出身のJagmeet S Kanwal(ジャグメット・S・カンワル)という生理学や動物学を専門とする大学教授です。
カンワル教授は、主に「動物の脳の機能」や「知覚情報(味覚・聴覚など)がどのように神経に伝達されているのか」といったこと、「動物の音によるコミュニケーションの取り方」、「音の知覚に関する聴覚と神経系とのつながり」などを研究しています。
彼の動物学の知識や協力を得て、「猫のための音楽」が作られました。
何のために作ったのだろう?
この曲は、もちろん猫のために作られたものですが、詳しくは作曲者であるデヴィッド・タイ氏がこう語っています。
今まで猫が聴いてきた音楽は、人が人のために作ったものでした。
古代に神として崇められた時から、ネットでもてはやされる現在まで、猫は別に好きでもない曲(音楽)を聴かされ続けてきたのです。
そう、今までは…。
これは「猫のための音楽」
始めて科学的に実証され動物(猫)のために作られた音楽です。
さぁ、聴いてみてください。
『そんなことが可能なの?』とお思いでしょう。
私は、猫が反応する音を観察して、猫の感性に寄り添いました。
人の音感は胎児の頃から発達します。母体の中で、母の心臓の鼓動をリズムとして知覚するからです。
一方、猫は生まれてから周りの音をきいて聴覚が発達していきます。
鳥のさえずりや、ミルクを吸う音、母猫が喉をならすときの『ゴロゴロ』という音などです。
ドラムが刻むビートは人の気持ちを高めますが、猫はそれとは違ったビートを好みます。
思い出してみてください、始めて音楽を聴いたときのことを…。
あの経験を再び、あなたの猫と共有(シェア)することができるのです。
科学が猫とじゃれる新しい方法を生み出しました。
彼らをリラックスさせ、音楽によって彼らの生活は豊かになります。
動物と人間。それぞれに感じるものは違っても、音楽という芸術を家族の一員である猫と一緒に楽しむことができるなんて、素敵だなぁ…。
でも、この「猫のための音楽」を作った張本人、デヴィッド・タイ氏が猫アレルギーだと言うのですから皮肉な話ですよね。(笑)
世界初!猫達のために待望のCD化。
実際に猫を対象とした実験の結果、全ての猫がこの音楽を好きというわけではありませんでしたし、少数ですが全く関心を持たない猫もいました。(人間でも音楽の好みはそれぞれなので当然のこと!)
ですが、人間用に作られた音楽よりも遥かに興味を持ち、猫のために作られた音楽ではなんと「77%」もの猫が好反応を示したのです。
実験に参加した多くの猫はリラックス状態になり、スピーカーの近くに行ったり、スピーカーに体をすり寄せ自分の匂いをつけるマーキングの行為を行ったといいます。
彼は今回の結果や、過去に行なったタマリンの音楽実験により、人間以外の動物でも音楽を充分に楽しむことができるということを知っていたので、「猫のための音楽」を世界中にいる多くの猫に聴いて欲しいという想いが膨らんでいきました。
そのためCD化することを考えたのです。
CD化を実現するために、2015年から資金集めでクラウドファンディングを実施すると、このことを知った大手メディアがこの話題をいち早く取り上げ、「猫のための音楽」は世界中で話題となります。
そのおかげで目標金額2万ドル(当時の日本円で約225万円)のところ、なんと10倍以上の24万ドル(約2,700万円)を超える金額が集まりました。
この反響をうけて、アメリカの音楽会社であるユニバーサルミュージックが契約を持ちかけ、2016年10月メジャー初となる人以外のために作られたアルバム『ねこのための音楽 - Music For Cats 』が、まずイギリスで発売されました。
メジャー初という話題性から再度注目されるようになり、人間以外用の音楽として史上最高位となるiTunesクラシックチャート1位、全英チャートでも33位という記録を打ち立てました。
日本では語呂合わせで、2017年2月22日(猫の日)に税抜価格2,222円(税込み2,400円)で発売されています。(笑)
そして、このCDを購入した世界中の愛猫家から、多くの高評価のレビューやコメントが寄せられました。
- このCDを買って本当に良かったです。飼い猫2匹ともソファーで満足してCDを聴いていました。
- 半信半疑で買ったんだけど、効果が凄かったです。最初は熱心に聴いていて、その後はとても落ち着いた様子で聴いています。
- 全く信じてなかったけど、本当にうちの猫が聴いていたのでビックリ!
- 猫はこの音楽を好きになったようです。
- 最初の数日は全く反応しなかったけど、毎日かけていたら彼女の反応が変わって今ではとてもリラックスして幸せそうに聴いています。
- そういえば猫の為の音楽ってあったよなーと物は試しようだとAmazon Musicで流したらまじでね、寝た…半目で(笑泣)猫飼いさん達是非!
「猫のための音楽」が、本当に猫が心地好く聴くことのできる音楽であるということがわかりますね~。
音楽の持つ力ってやっぱり凄い!
人間だけでなく他の動物でも、曲や音によって感情が揺さぶられるというのですから、『音楽の持つ力ってやっぱり凄い!』と改めて感じました。
デヴィッド・タイさんは探究心が旺盛なようなので、いつの日か、「鳥のための音楽」とか「魚のための音楽」、果てには「虫のための音楽」とかが聴けるともっと面白いな、と思います。(笑)