こいのぼり
ようこそ!ブーです。
もうすぐ来る、5月5日は端午の節句で「こどもの日」。
『子ども達の健やかな成長を祝いましょう!』
ということで、今日は童謡「こいのぼり」を紹介します。
メロディには、鯉のぼりが風になびいてフワフワと五月晴れの空を泳いでいる様子がよく出ていますよね。
題名は「こいのぼり」?「鯉のぼり」?
実は鯉のぼりを題材とした童謡は2種類あります。
今日紹介するのは、ひらがなで書かれた方の「こいのぼり」です。
ですが『全然、違う曲なんだよ!』ということで一応、漢字が混ざった「鯉のぼり」の方も簡単にご紹介しておきます。
「鯉のぼり」は、文科省が大正2年に刊行した『尋常小学唱歌 第五学年用』で初めて掲載されました。
作詞者不詳、作曲者・弘田龍太郎さんです。
1番.
甍(いらか)の波と雲の波、
重なる波の中空(なかぞら)を、
橘(たちばな)かおる朝風に、
高く泳ぐや、鯉のぼり。
曲自体はのびやかでとても良いのに、歌詞が童謡とは思えないほど硬い…!(3番までありますが、…全部硬い!笑)
ということで今では子ども達が歌いやすい、ひらがなの「こいのぼり」が一般的によく歌われています。
童謡「こいのぼり」
この曲は日本教育音楽協会が編集し、音楽教育書出版協会が昭和6年に出版した唱歌集「ヱホンシヤウカ 第1輯 ハルノマキ」現代の漢字で書くと「絵本唱歌 第1集 春の巻」に掲載されました。
ヱホンシヤウカの説明と他の作品を紹介しています。↓
「こいのぼり」の作詞は近藤宮子さん、作曲は不明です。
1993年までは、作詞者・作曲者ともに不詳とされていました。
それは、大人の事情で作詞・作曲は日本教育音楽協会と表記されていたからです。
そのため、近藤宮子さんの作詞した曲は無名著作物として扱われていました。
(嘆かわしいことですが、他の童謡でもよくあります)
『多くの人に歌われて、歌い継がれていくのならそれでよい』という思いがあったので、長い間、近藤さんも名乗り出ることはありませんでした。
ですが、やっぱり『ウソはよくない』と裁判を起こして、見事に自分の作品として発表することが出来るようになりました。
「こいのぼり」の歌詞
上のカタカナで書かれている歌詞は「ヱホンシヤウカ」掲載のもの、下のひらがなで書かれているものは現在歌われている普通の歌詞です。
こいのぼり
作詞・近藤宮子 作曲・不明
ヤネ ヨリ タカイ コヒノボリ、
オホキイ マゴヒ ハ オトウサン、
チヒサイ ヒゴヒ ハ コドモダチ、
オモシロサウ ニ オヨイデル、
やねより たかい こいのぼり
おおきい まごいは おとうさん
ちいさい ひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる
「ヱホンシヤウカ」版の歌詞は昭和初期の時代背景を反映して、『オトウサン』が『オトウサマ』になっているものもあるようです。
今では歴史的仮名遣いは使わないので、不思議な感じもしますね。
そして1番ナゾなのが「まごい・ひごい」というワードではないでしょうか?
ブーも調べるまでは、孫とか曾孫という感じの意味合いかと思っていましたが、実際には「真鯉・緋鯉」と書きます。
- 真鯉は、コイ本来の色彩とうろこをもつもので、色が黒っぽい種類。
- 緋鯉は、コイの中でも色が赤や赤黄色、斑紋のあるもの。(錦鯉など)
ということで、色の違いしか無いようです。
本来の緋鯉は「お母さん」を指すのですが、昔は男尊女卑という習慣があったり、「鯉のぼり」自体が子どものためにあげるものなので優先順位が「家長であるお父さんと、主役の子ども」だったこと、そして「こいのぼり」の歌詞が有名すぎて「真鯉はお父さん、緋鯉は子ども」という風に誤解されたまま認識されています。
本当の子どもの鯉は、「子鯉」と呼ばれる青色の鯉のぼりなんですよ。
端午の節句と鯉のぼり
鯉のぼりは「流れの激しい滝を登れた魚は鯉だけで、その鯉は龍になった」という中国に昔から伝わっている故事が由来となっており、男の子の立身出世を願う意味合いがあります。
鯉は生命力の強い魚なので、どのような環境でもその子が健康でたくましく育つことを祈願する意味も含まれているそうです。
本来は真鯉のみで、明治時代から真鯉と緋鯉の対で揚げるようになり、年号が昭和に入ってからは、家族を表すものとして子鯉を添えたものが主流となりました。
また、真鯉に赤い裸の男の子がしがみついている柄のものがあるのですが、金太郎なんだそうです。
金太郎が自分より大きい鯉を捕まえた伝説をもとにしているそうで、『金太郎のようにたくましい子どもに育って欲しい』という願いが込められています。
(金太郎って熊もお相撲で負かすくらいだから、本当に凄いんだな…)
最近では緑やオレンジといった、より華やかな色の子鯉も普及しています。
所によっては女の子も含め家族全員の分の鯉を上げる家もあるそうで、色鮮やかな子鯉はそういった需要に応えて作られるようになりました。
鯉のぼりを飾るために立てる竿の先には「回転球やかご玉」をつけ、その下に「矢車」が飾られます。
その次が五色、もしくは鯉などを描いた吹流しを一番上にきて、それ以降は「こいのぼり」の歌詞どおり“真鯉・緋鯉”など大きさの順に並べて揚げるのが一般的です。
端午の節句付近で店頭に並ぶ柏餅とちまきや、菖蒲湯を楽しみにゴールデンウィークを過ごそうと思います。