ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

in tempoの必要性と矛盾。

ようこそ!ブーです。

 

今日は、「in tempoイン・テンポ」という音楽用語について説明します。

 

 

in tempoとはどういう意味?

in tempoは楽譜の最初に書いてある速度記号・用語を補助するためのもので、

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イタリア語で「正確な速度で」という意味です。

 

細かく言うと「楽譜の初めに書いてある速度記号・用語の指示に合わせて、テンポ(速さ)を変化させることなく一定の速度を保って演奏しなさい」という、指示を強調・強要するような意味があります。

 

曲の初めに書かれることが多いですが、楽譜によっては途中で書かれている場合があり、in tempoが書いてある小節の前までに曲のテンポが変わっていることが大前提です。

その変わったテンポを「初めに指示があった速度に戻して、ここからは一定の速さで演奏しなさい」と直すために使われます。

 

この『一定の速度』と『テンポを変化させない』ということをキッチリ守って演奏しようと思ったら、メトロノームという、一定の速度を正確に教えてくれる音楽用の機械を使って練習する事が必要です。

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in tempoどんな風に使われているの?

楽譜の指示以外では口頭で先生や指揮者が指示するときがあり、

この場合は、楽譜に書いてあるin tempoとは意味合いが異なってきます。

 

「練習が次の段階に行く」ときや、オーケストラやアンサンブルなどの「他の人と合わせて演奏する」場合に使われるんです。

 

 

練習が次の段階に行くときのin tempo

1人で演奏する場合にはキチンと練習していれば、人によってかかる時間は違っても楽譜通りに良い速さで弾く事が、いつかは出来るようになります。

 

逆に、最初から指定された速度で完璧な演奏する事は難しいと言うよりも不可能なことです。

 

なので普通は、初めの練習はゆっくり間違えずに弾いて曲に慣れていき、練習を重ねる事で音を間違えずに演奏できるようになり、

その次の段階として、やっと「その曲が持つ、本来の速さ=in tempo」で演奏する事ができるわけです。

 

他の人と合わせて演奏する場合のin tempo

原理は「練習が次の段階に行くときのin tempo」と同じですが、

1人で練習しているときには簡単に出来るようになったin tempoが、他の人が加わることによってバラバラに崩壊し、振り出しに戻ってしまう時もあるんです。

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それは、人それぞれの解釈や息継ぎの仕方などによって、速度や音量が微妙に違ってくるためで、

そんな風にならないようにするために大勢で合わせるときには、探りながらゆっくりユックリ綿密に息を合わせていかなければいけません。 

 

練習で息が合うようになったら、

その次の段階として、やっと「その曲が持つ、本来の速さ=in tempo」で演奏することができます。

 

 

似ている用語

似ている用語は、a tempoア・テンポ、Tempo I(Tempo purimo)テンポ・プリモ、L'istesso tempoリステッソ・テンポ、tempo giustoテンポ・ジュストなどがあります。

音楽用語はイタリア語が多くて、これらも全てイタリア語です。

 

a tempo「元の速さで」・Tempo I「最初の速さで」は、どちらも曲の途中で使われ、最初に使う事は絶対にありません。

それは、一時変更・変化した速さを楽譜の最初に書いてあった速度記号・用語の速さに直すためです。

 

L'istesso tempo「同じ速さで」は、曲の基準となる音符の種類が拍子記号(4/4拍子・8/4拍子など)の指示で変わったときに、本当は速度も一緒に変わるところを、あえて変えないようにするために使われます。

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tempo giusto「正確な速さで」は、ただ単純に音の速さをコロコロ変えないようにするために使われます。

 

 

音楽にin tempoは存在しない。

ブーは音楽を演奏するとき、どうしても感情が入りすぎて楽譜に書いてある「徐々に大きく」とか「徐々に小さく」という指示をオーバーにやりすぎてしまう癖があり、

そうすると必ずそれと連動して「曲の速度」が早くなったり遅くなったりするんです。

 

実は、オーバーにやっているつもりが無くても、音楽にはそういう現象が起きるような仕組みがあります。

それは、音が高くなるにつれて大きく・速く弾きたくなるという音に対する期待感や、音の響きで楽しさや悲しみなどの感情を抱いたりする「心理的なこと」が関係しているんです。

 

一方で、in tempoは一定の速度を守る役目があり、メトロノームを使うくらいキッチリしなければいけないので、この心理的な要因は排除する必要がありますよね。

 

ですが、音楽は感情などを自由に表現するために存在しているはずです。

その感情などを伝えるためには楽譜をよく読み解いて、それに合わせて演奏・表現する必要性があり、どうしても緩急がついてしまうのが普通です。

 

そうすると、一定の速度で演奏すること=in tempoに矛盾が生じてしまい、実際にin tempoを守って弾ける曲はないということになります。

 

だから、楽譜上でしか存在できなくなってしまうんです。

 

さらに「音楽にin tempoは存在しない」と豪語する人までいる位、音楽的表現には似つかわしくない用語。

 

でも、逆にin tempoの曲があったら無機質でクリアな感じがして面白いかもしれないけどね!(笑)

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