ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

ナポリの空気を感じる「帰れソレントへ」

ようこそ!ブーです。

 

今日は、イタリアが生んだ名曲「帰れソレントへ」を紹介します。

 

ブーがこの曲を知ったのは中学生の頃で、音楽の授業で習いました。

『何だこのムーディーな曲は!?メッチャ良い…!』と感動したのを覚えています。

 

聴きながら読んでね↓ 

youtu.be

 

3大テノールとして名をはせた、故ルチアーノ・パヴァロッティ氏もコンサートのアンコールでよく歌っていた名曲です。

 

 

ソレント

Sorrentoソレントとは、イタリアのナポリ県にある人口約1万7000人の都市です。

 

半島になっている土地は、美しい自然と豊かな海に囲まれているためリゾート地としてもよく知られています。

f:id:boosensei:20180426051438j:plain

 

近くには、青の洞窟が有名なカプリ、ヴェスヴィオ火山の噴火で埋まってしまった古代都市ポンペイ、ユネスコの世界遺産にも登録されている海岸の街並みが美しいアマルフィなど有名な観光地もあり、交通も鉄道・車・船で行けるので便利な地域です。

 

修道院や西洋特有の古い建物と細い路地、壮大で美しい海を眺めることができる街の急斜面や切り立った崖、オレンジやレモンといった柑橘系の樹が並び、自然豊かでのどかな風景が広がります。

 

ソレントという土地は、曲のイメージそのままの「自然豊かな美しい場所」ということが解りました。

 

海に面し観光地として土地柄や、柑橘類栽培や木工生産などの産業面で共通点が多いことから、日本の三重県熊野市と姉妹都市の提携をしています。

 

 

曲の概要

「帰れソレントへ」は、ソレントを訪れる来賓のおもてなし用に作られたものです。 

 

1902年9月15日に当時イタリアの首相だったジュゼッペ・ザナルデッリが訪れることを知ったソレントの市長が、ナポリ生まれの作曲家エルネスト・デ・クルティスに頼みました。

 

作詞は、エルネストの兄で詩人だったジャンバッティスタ・デ・クルティスが書いたものです。

 

帰れソレントへ

作詞ジャンバッティスタ・デ・クルティス(訳ブー) 作曲エルネスト・デ・クルティス

見てごらん、海のなんと美しいことか。
まるで君と同じように、愛をかきたてる。
見てごらん、この庭園を。
オレンジの花の香りをかいでごらん。
心に染み入ってくるようだ。
お前はさよならと言ってこの心から、愛の地から去って行く。
行かないでおくれ。
そんなに苦しめないでおくれ。
ソレントに帰ってきておくれ、さもなければ生きては行けない!

 

首相をおもてなしするには悲しすぎる歌詞ですが、曲調には合っていて「物悲しくも美しい思い出」や「ソレントの美しい海や緑豊かなオレンジ畑」が想像できる良い歌詞ですよね。

 

 

「帰れソレントへ」

 原題はナポリ語で「Torna a Surriento」です。

 

ジャンルは「Canzoneカンツォーネ」に分けられます。

カンツォーネはイタリア語で「」という意味があり、19世紀末から20世紀初頭に書かれたイタリアの大衆歌曲で、ナポリのもの「Canzone napoletanaカンツォーネ・ナポレターナ」を指すことが多いようです。
f:id:boosensei:20180426051446j:plain

 

カンツォーネには様々なテーマがありますが、

  • 人生の教訓
  • 仕事や日常などの生活感があふれるもの
  • 恋愛や失恋のときの心の浮き沈み

など、人々が経験したことがある・共感できるものが主になるので、演奏されるときはもの凄く盛り上がります。

 

「帰れソレントへ」も例外ではありません。

 

特に本場の人が演奏すると、感情が入りすぎて『ここ、こんなに伸ばすの!?なんだ、この拍の取りかたは!?』と思わず言ってしまいそうな演奏になりますが、イタリアの情熱を感じることができて面白いです。

 

4分の3拍子のリズムですが、『同じ3拍子の曲でも、カンツォーネとワルツでこんなにも違いが出るのか!』といった風に、国によって違う音楽のあり方に感服します。

 

最初と最後が哀愁を誘うホ短調、中間部の熱い太陽とさわやかな海風を感じさせるような明るい部分はホ長調で構成されています。

 

実は、かの有名なエルビス・プレスリーも「サレンダー」というタイトルで英語版としてカバーしていて、なんとアメリカとイギリスのヒットチャートで1位を獲ったというんだから驚きですよね。

 

やっぱり名曲なんだなぁ…。

 

 

情熱の国イタリア

こんな風に、カンツォーネを聴くと感動して『1度で良いからイタリアに行ってみたい!』と思います。

 

もし行けたら ゴンドラに乗りながら「帰れソレントへ」と「'O sole mioオー・ソレ・ミオ」を歌いたいな…。

 

でも、飛行機がコワい!(笑)

f:id:boosensei:20180329051826p:plain