ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

演奏会で、こんな曲聴いたらビックリしちゃうよね。

ようこそ!ブーです。

今日は、私たちの想像のはるか上を行ってる、クラシック音楽のビックリ曲を紹介します。

 

曲紹介

Mahla's Symphony.No6 マーラー「交響曲第6番」(Tragische「悲劇的」)

オーストリアの音楽の都ウィーンで活躍した、Gustav Mahler(グスタフ・マーラー)の作品でハンマー(木槌)が使われています。

演奏時間は80分ほど。 

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マーラーと言えば、新しい楽器を取り入れてはいるけど、人間的に細かい性格でまさに頑固一徹な感じなんですが、この曲ではなんと、最終楽章の第4楽章でハンマーを使っています。

めっちゃ大きい木のハンマーで、男の人じゃないと扱うのは無理そうです。

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しかも、「金属的ではない性質の音(斧を打ち込むように力強く)」と、指定までしているんですよね。(こ、細かい…)

 

ハンマーは、曲の盛り上がりの部分で2回使われて、上から下に振り下ろされます。

初め書かれた楽譜では5回、そのあと3回に減らされて、今の2回に落ち着きました。(やっぱりビックリするから減らしたのかな…)

 

これだけ大きいと床に穴が空いてしまいそうですが、大切なコンサートホールに傷なんか付けられませんから、厚い木の板を敷いてそこを目がけて思いっきり「ドーンッ!!」です。(笑)

 

第4楽章の曲調は、なんだか「これって本当にマーラーが作曲したの?どこに向かってるの?マーラーに何かあったの?」って心配に思うくらい不思議な響きです。(ブーは好きですけどね)

 

そんな中でハンマーが「ドーンッ!!」ですからビックリしちゃいました。

 

マーラー本人も手紙で、「僕の第6は、聴く人に謎を突き付けるだろうね。でも、この謎解きは、僕の第1から第5までを受け入れて、それを完全に消化した世代だけが挑戦できるんだ」と書いています。

 

きっと、「自分(マーラー)の音楽が理解される時が来て、また新しい音楽の時代がやってくる」って言いたかったんだろうね。

あなた(マーラー)の時代、ちゃんと来ましたよ~!!

 

 

Concerto pour piano et orchestre ピアノ協奏曲ト長調

フランス出身の、Maurice Ravel(モーリス・ラヴェル)の作品です。

この曲に使われるのは鞭の音です。

演奏時間20分ほど。

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本物の鞭だったり、木で出来た音だけのものを使ったり出来ます。

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曲の一番初めに「パーンッ!」と音が鳴るのでインパクト大です。

 

でも、一回だけしか鳴らないので「え!今の何だったんだ?」って感じで曲が進みます。(笑)

 

ラヴェルと言えば、変わった曲を書くことで有名ですが、この曲の構成はいたって古典的な「急→緩→急」の3楽章となっているのでわりと聴きやすいです。

 

1楽章は、キラキラしたピアノがリズミカルで目立っています(ピアノ協奏曲って題名なんだから当たり前か!)。

緩急がはっきりしているので、ロマンティックだけどユーモラスが勝ちます。

 

2楽章は、簡素だけど緻密に作られた美しいメロディー、1楽章のあの騒がしさは何だったんだって位、しっとりとピアノを聴かせてくれます。

楽器も高音ばかりで美しいハーモニーです。

 

3楽章は、ドラムロールが入って、トランペットやクラリネットそしてピッコロが飛び跳ねるような音を奏でます、まるで目まぐるしいサーカスのようです。

ピアノの細かい音も華やかで、まさにフィナーレって感じで曲が終わります。

 

鞭を使っているので紹介しましたが、それ以外にオーケストラの規模としては小さいですが多くの種類の楽器を使っているし、聴きどころ満載なのでおすすめです。

 

 

An American in Paris パリのアメリカ人

「ラプソディ・イン・ブルー」で有名な、アメリカ出身のGeorge Garshwin(ジョージ・ガーシュウィン)の作品です。

 

演奏には、タクシーまたは車の手で押すタイプのクラクション、音の指定があるので4種類が使われます。

 

演奏時間18分ほど。

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この作品は、ガーシュウィン自身がパリに行ったときの体験をもとに作曲されました。 

 

もともと、クラシックにジャズを取り入れたりする異端児なので、通常の楽器編成に加えて、近代的な楽器も使っています。

 

この曲では、都会的なパリでの生活や喧騒などを自分が感じたままの音で表現したかったので、ニューヨーク初演のときには曲に使うために、わざわざパリからタクシー用のクラクションをアメリカ合衆国へ持ち帰ったほどです。 

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そもそも場面の展開がわかるほど、聴く方が忙しい曲なので「こんな曲もあったのか」と驚くと思います。

 

曲調は、パリっぽくゆったりした空気感と、都会独特の歩くスピードの速さや、おしゃれな人々、そして車がビュンビュン行きかう感じがよく表現されています。

 

「ガーシュウィン、都会の生活楽しかったんだね。パリには心躍るようなキレイな女の人でもいたの?」という感じでした。

 

 

4’33” 4分33秒

時間をメモしたわけではなく、アメリカ出身のJon Cage(ジョン・ケージ)の作品です。(笑)

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「現代音楽における最大の問題作」と言われて、3楽章で構成されています。

演奏は、楽器が弾けなくても大丈夫です。

絶対、誰にでも演奏出来ます。

 

第1楽章 TACET 休み、第2楽章 TACET 休み、第3楽章 TACET 休み

 

ん?これで終わり?

……。

えぇっ!全部休んでいいの!?何も弾かないの!?

4分33秒もあるのに何もしないの?

 

って感じですよね。(笑)

 

この曲?は楽器の音ではなく、会場内のお客さんの咳、ざわめき、雑音など、その空間にあるものすべてが音楽であると表現しているんです。

なので、演奏する場所によって違ってきます。

 

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「すごい!奥が深いな!」とは思うけど、会場に来たお客さん、どんな気持ちなんだろう…。

 

 

怖いもの見たさ

ビックリしそうだけど、本物を生で観たいですね。(笑)

 

しかし、音楽って本当にいろんな表現ができるんだなぁ。

細かく作り上げたり、ドーンと壊したり、聴き手に考えてもらったり…

 

あぁ~!音楽って自由だ!!

 

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