ブー先生の音楽教室

学校では教えてくれない、音楽のことを書いています。

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルその②

ようこそ!ブーです。

 

今回も、大好きな作曲家ラヴェルについて紹介します。

 

内容はブーが好きな作品「クープランの墓」と、彼のクラシック音楽的な分類(ジャンル)カッコいい通り名、そしてどこが好きなのかです。

 

 

「Le Tombeau de Couperinクープランの墓」

聴きながら見てね↓

youtu.be

 

この曲は「クープランの墓」という6曲編成の組曲です。

 

彼のピアノ独奏曲としては最後の作品となりました。

 

題名にもなっているフランソワ・クープランは、ラヴェルが生まれるよりかなり前のバロック時代に活躍したフランスの作曲家で、彼の尊敬する人物です。

 

Tombeauトンボーというのはフランス語で墓石や墓碑を指しますが、この曲に関しては18世紀(クープランが活躍した)頃のフランスの伝統的な音楽のジャンルのことを表しているので、題名は「故人クープランを偲んで」くらいに考えた方がシックリきます。

 

この曲は、バロック時代の音楽への捧げ物としてフランスの伝統に敬意を表す曲構成と、戦争で亡くなった友人たちへの追悼を込めたレクイエム(鎮魂歌)の要素がありますが、決して暗くはありません。

 

ですが、1つひとつの題名部分には『○○の追憶に』と書かれてあり、故人へ捧げるために作曲されたことが目で見てわかります。

 

  • 1曲目「Preludeプレリュード」ジャック・シャルロ中尉
  • 2曲目「Fugueフーガ」ジャン・クルッピ少尉
  • 3曲目「Forlaneフォルラーヌ」ガブリエル・ドゥリュック中尉
  • 4曲目「Rigaudonリゴドン」ゴーダン兄弟ピエールとパスカル
  • 5曲目「Menuetメヌエット」ジャン・ドレフュス
  • 6曲目「Toccataトッカータ」ジョゼフ・ドゥ・マルリアーヴ大尉

 

ブーは1曲目が特に好きです。

 

伝統的な音楽の復興と、故人を偲んだ追悼の意味があるこの曲ですが、初演のあとにラヴェルを嫌っている批評家が『クープラン作曲の“故人ラヴェルを偲んで”だったらもっと傑作だったのに』と新聞に書いたというエピソードがあり、思わず笑ってしまいました。

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クラシック音楽的な分類

ラヴェルは、印象派(印象主義)の作曲家に分類されています。

 

印象派は20世紀の初めにフランスで始まった、クラシック音楽のジャンルの1つです。

 

この時代より前(バロック・古典など)の作品では、感情の起伏や物語り・ストーリーの流れを重視した物が多かったことに対して、印象派は空気感や雰囲気を大事にしているので、あいまいで伝わりにくいときもあります。

 

そんな時代に生きたラヴェルですが、曲自体の構成はバッハの時代のような古典様式を使うことがあり、

彼以外に類を見ない、印象派特有の音の響きと古典的な曲構成の良いところを最大限に引き出した技法は曲の大きな魅力となっています。

 

今、聴いてもらっている「クープランの墓」もこの技法で作られている曲の1つです。

 

少し難しく説明しましたが、印象派の音楽はフランスの独特な空気・気だるい感じを聴き取ることができれば十分に楽しめます!

 

 

カッコいい通り名

他の作曲家も通り名(あだ名)がある人はいますが、ラヴェルの通り名は他とは比べられない位カッコいいんです。

 

作品に様々な種類の楽器を使い、意のままに操る様子から『管弦楽の魔術師』と呼ばれ、

その様々な種類の楽器を最大限に使って豊かな響き・音色を作り出すことから『オーケストレーションの天才』と賞賛されます。

 

そして、それら全ての技術を総動員して正確に作りこまれた緻密で繊細な音楽は、同じく作曲家のストラヴィンスキーから『スイスの時計職人』と呼ばれるほどでした。

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こんなカッコいい通り名がある一方で、「ボレロ」の初演に立ち会ったご夫人に『この作曲家は頭がおかしい!』と言われた時には『彼女はこの音楽を誰よりも理解している。』と語ったというんだから、相当な皮肉屋という一面も持っています。

 

ブーの勝手なイメージで言うと性格や立ち振る舞いは、刑事ドラマ「相棒」の“杉下右京”さんに近いです。 (笑)

 

でも、若い頃の顔は、フィギュアスケート男子でスペイン出身のハビエル・フェルナンデス選手に似てるんですよねぇ。

やっぱりラヴェルのお母さんがバスク系(フランスとスペインの国境付近に住む系統不明の民族)だからかな?

 

 

どこが好きなのか

音楽も人間性も全部好きです!(会ったこと無いけど!笑)

 

ラヴェルの作り出す音楽は、触ったら一瞬で壊れてしまいそうな繊細さを持っていたり、パリの空気に溶け込むようなぼんやりとした儚さが心地良くて、瞑想するときに良く聴きます。

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他の作曲家が感情の起伏のように、音の流れをそのままにして曲を作っているのに比べて、ラヴェルの作品は『時計の小さいネジやバネ、歯車を組み込むように正確に細かく作りこまれてるな』って感じがするんです。

 

それなのに、決して機械的ではないのが本当にスゴイ!

 

とにかくラヴェルの作り出す音楽の雰囲気が好きだ~!!

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